【中学理科発展】光合成速度の求め方を徹底解説!計算のポイント&テスト頻出問題付き

光合成速度(中学理科)アイキャッチ画像 中2理科
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中学理科の発展内容である、光合成速度(光合成曲線)について学習します。

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[発展内容]光合成速度とは

まずは、光合成速度について説明します。光合成速度とは、一定時間あたりの光合成の量のことをいいます。例えば、1時間あたりにどれくらい光合成をしたか、1分あたりにどれくらい光合成をしたかなどで表されます。単に光合成量といわれることもあります。

では、どうやって一定時間あたりの光合成の量を測定するのでしょうか。葉の中にできたデンプンの質量を調べるのは難しいので、二酸化炭素の吸収量で光合成の量をはかることになります。つまり、二酸化炭素をたくさん吸収していれば光合成をたくさんしていることになり、二酸化炭素をあまり吸収していない場合、光合成の量が少ないことを意味するのです。

呼吸速度

植物は、光合成だけではなく呼吸も行っています。一定時間あたりの呼吸量を呼吸速度といいます。呼吸は光が当たっていない暗黒の中でも、光が当たっているときでも常に同じ量だけ行っています。

呼吸速度は、一定時間あたりの二酸化炭素の排出量で表されます。二酸化炭素の吸収量で表すならマイナスの値になります。

見かけの光合成速度

植物は、光が当たっていないときは呼吸のみを行いますが、光が当たっているときは、光の強さに応じて光合成も行います。なので、光が当たっている場合、光合成で二酸化炭素を吸収し、同時に呼吸で二酸化炭素を排出していることになります。

見かけの光合成速度とは、本当の光合成速度から呼吸量を引いたものです。本当はたくさん光合成しているのに、呼吸で二酸化炭素を排出しているので、見かけ上はそんなに二酸化炭素を吸収していないように見えます。これが見かけの光合成速度になるのです。

見かけの光合成速度=(本当の)光合成速度呼吸速度

(本当の)光合成速度=見かけの光合成速度+呼吸速度

言葉で説明するだけではわかりにくいので、下のグラフを読みながら考えていきましょう。

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[発展内容]光合成速度のグラフ

次のグラフは、ある植物について、光の強さと二酸化炭素吸収速度との関係を示したものになります。

光合成速度のグラフ

光合成速度(光合成の量)を縦軸で表し、二酸化炭素吸収速度(吸収量)〔g〕で表します。二酸化炭素吸収速度がマイナスの場合は、二酸化炭素を排出したことを表しています。横軸は光の強さ〔キロルクス〕を表していて、値が大きくなればなるほど光が強いことを表しています。

呼吸速度(呼吸量)の求め方

呼吸速度(呼吸量)を求めるには、呼吸のみをおこなっている暗黒条件を考えます。つまり、光の強さが0キロルクスのところを見ればいいのです。

呼吸速度

上のグラフのように、光の強さが0キロルクスの場合、二酸化炭素吸収速度が−5となっています。これは、呼吸を行い二酸化炭素を5g排出したことを表しているのです。

光合成速度(光合成量)の求め方

光合成速度(光合成量)を求めるには、呼吸で排出した二酸化炭素の量も考慮しなければなりません。光が当たっているときは、光合成も呼吸も行なっているので、(本当の)光合成速度(光合成量)は、下グラフの量になります。光の強さが30キロルクスだった場合。

光合成速度

(本当の)光合成速度=見かけの光合成速度+呼吸速度

見かけの光合成速度が10g、呼吸速度が5gなので、光合成速度は15gとなります。

光合成速度(光合成量)から、呼吸量を引けば、見かけの光合成速度も出てきます。

光補償点と光飽和点

下のグラフの二酸化炭素吸収速度が0になっている点を、光補償点といいます。この点は、見かけの光合成速度が0になる点で、光合成速度と呼吸速度が等しくなっている点です。光合成と呼吸の量が同じになっているので、植物は成長せず、かろうじて生きていくことができる点になります。下のグラフで表される植物の場合、光補償点は10キロルクスとなります。

一方、下のグラフの光の強さが40キロルクスの点を見てください。ここからグラフの形が変わり、これ以降光の強さを強くしても、二酸化炭素吸収速度が増加しません。つまり、この点は光の量がこれ以上強くなっても意味がありませんよという点で、光飽和点といいます。下のグラフで表される植物の場合、光飽和点は40キロルクスとなります。

補償点と光飽和点

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【中学理科発展問題】光合成速度

次のグラフは、ある植物A・Bの1時間あたりの植物の葉100㎠の二酸化炭素吸収速度と、光の強さとの関係を表しているグラフである。これについて、次の問いに答えよ。

光合成速度の問題

(1)植物Aの光補償点と光飽和点の光の強さを、それぞれ答えよ。

(2)比較的弱い光の下でも生育できる植物は、植物Aと植物Bのどちらか。

(3)植物Aと植物Bの呼吸速度をそれぞれ求めよ。この場合の呼吸速度とは、葉100㎠あたりの1時間での二酸化炭素排出量のことである。

(4)光の強さが20キロルクスのときの、植物Aと植物Bの光合成速度をそれぞれ求めよ。この場合の光合成速度とは、葉100㎠あたりの1時間での二酸化炭素吸収量のことである。

(5)植物Aに30キロルクスの光を4時間照射した。このときと二酸化炭素吸収量が等しくなるには、植物Bに30キロルクスの光を何時間照射すればよいか。

【解答・解説】光合成速度

(1)光補償点…10キロルクス 光飽和点…25キロルクス

光補償点は、呼吸速度と光合成速度が等しい光の強さで、見かけの光合成速度が0になる点である。したがって、植物Aの光補償点は10キロルクスとなる。光飽和点は、光の強さを強くしても光合成速度が増加しなくなる光の強さで、植物Aの光飽和点は25キロルクスだとわかる。

(2)植物B

植物は光補償点の光の強さがあれば、成長はしないが生きていくことができる。植物Aの光補償点は10キロルクス、植物Bの光補償点は5キロルクスなので、弱い光でも生きていくことができるのは植物Bとなる。

(3)植物A…10g 植物B…5g

呼吸速度は、光の強さが0キロルクスのときの二酸化炭素吸収量を見ればよい。植物Aの0キロルクスのときの二酸化炭素吸収量は-10gなので、二酸化炭素排出量だと10gとなる。植物Bの二酸化炭素吸収量は-5gなので、二酸化炭素排出量だと5gとなる。

(4)植物A…20g 植物B…15g

光合成速度は、呼吸速度と見かけの光合成速度の和で求めることができる。光の強さが20キロルクスのときの植物Aの呼吸速度は10g、見かけの光合成速度は10gなので、光合成速度は20gとなる。植物Bの呼吸速度は5g、見かけの光合成速度は10gなので、光合成速度は15gとなる。

(5)6時間

光の強さが30キロルクスのとき、植物Aの見かけの光合成速度は15gなので、4時間光を照射すると、15g×4時間=60g、二酸化炭素を吸収する。光の強さが30キロルクスのときの植物Bの見かけの光合成速度は10gなので、60gの二酸化炭素を吸収するには、60÷10=6時間、光を照射する必要がある。

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