中学2年理科。「電流と磁界」について学習します。電流が流れることで発生する磁界の特徴をマスターしていきましょう。
磁界とは
小学生の時に学習した、磁石が鉄などの物質を引きつける力を磁力といいました。この磁力がはたらく空間を磁界といいます。磁界の向きは方位磁針で調べることができ、方位磁針のN極がさす向きが磁界の向きになります。
磁力線
磁界の向きに沿ってかいた線を磁力線といいます。磁力線は磁石のN極から出てS極へ入ります。したがって、磁力線の矢印の向きもN極からS極に向かいます。磁力線の間隔がせまいところほど磁力が強く、間隔が広いところほど磁力が弱いことを表しています。
❷磁界の向きは磁石のN極からS極。
❸磁界の向きは磁力線の矢印の向き。
電流のまわりの磁界
磁石の磁界と同じように、電流が流れると、そのまわりに磁界ができます。磁界の強さを強くするには、導線やコイルに流れる電流を大きくする方法などがあります。まずは次の2つの磁界を理解しましょう。
導線のまわりの磁界
導線に電流を流すと、そのまわりに同心円状の磁界が発生します。導線に近いほど、磁力線の間隔がせまく、磁力が強くなります。流れる電流の向きを変えると、できる磁界の向きは反対になります。
導線のまわりの磁界の向きがどちら向きかを調べるには、右ねじの法則や、右手でつかむ方法がありますが、ペンを使って磁界の向きを判定する方法をレクシャーします。次の手順で行ってください。
- ペン先を電流の流れる向きにあわせる。
- ペンの芯を交換するときと同じようにペンを回し分解する。
- 分解できる向きが電流のまわりの磁界の向きになります。
コイルのまわりの磁界
導線を何回も巻いたものをコイルといいます。このコイルに電流を流すと、上の図のような磁界ができます。まるで、コイルが棒磁石になったかのような磁界ができます。
このコイルの磁界の向きを調べるには、右手でコイルを掴むことによって、磁界の向きがわかります。次の手順で磁界の向きを調べます。
- コイルが巻いてある部分に流れる電流の向きと、親指以外の4本の指を合わせます。
- 4本の指の付け根から指先に電流が流れるように向きを合わせコイルを握ります。
- 残りの親指を立てます。親指の向きが磁界の向きになります。
- あとは、棒磁石と同じような磁界ができることを覚えておきましょう。
コイルのまわりの磁界を強くする方法
コイルのまわりの磁界を強くする方法として次の3つを覚えておきましょう。
- コイルに流れる電流を大きくする。
- コイルの巻き数を増やす。
- コイルの中に鉄心を入れる。
コイルの中に鉄心を入れたものを、特に電磁石といいます。電磁石は様々なものに使われ、私たちの生活に役立っています。
電流がつくる磁界について問題演習を行います。導線に電流が流れている場合、コイルに電流が流れている場合の磁界を確認します。
【対策問題】電流と磁界・コイル
下の図1のように、電源装置と電熱線、スイッチ、コイル、電流計、電圧計を接続した装置をつくった。この装置に電圧をかけると、電圧計が6.0V、電流計が0.5Aを示した。コイルの抵抗は無視できるのもとして、次の各問いに答えなさい。
(1)この装置に接続されている電熱線の抵抗は何Ωか。
(2)コイルのまわりに置いた方位磁針A~Cは最初北の方角を示していた。このあと電流がコイルに流れると、方位磁針A~Cは、それぞれ、図2のア~エのどれになるか。記号で答えなさい。
(3)この実験のあと、電熱線を取り外し、実験で使った電熱線と同じ電熱線を並列に2つ接続して、同じ大きさの電圧をかけた。このときの方位磁針の振れ方は、最初のときと比べてどうなるか。
【解答・解説】電流と磁界
(1)12Ω
抵抗は電圧V÷電流Aで求めることができます。
電熱線には6.0Vの電圧がかかっており、0.5Aの電流が流れているので、
6.0V÷0.5A=12Ω
となります。
(2)磁針A:イ 磁針B:ア 磁針C:イ
コイルに電流が流れると、まわりには磁石と同じような磁界が発生します。図の状態で電流が流れると、コイルの南側がN極となるように磁界ができます。したがって、方位磁針AとCは北、中心にある方位磁針Bは南を指します。
(3)大きくなる
コイルに流れる電流が大きくなると、方位磁針の振れ方が大きくなります。コイルに流れる電流を大きくするには、回路の抵抗を小さくすればいいです。並列に抵抗を接続すれば、全体の抵抗が小さくなり、回路に大きな電流が流れるようになります。
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