古典の基礎である仮名遣いについてまとめています。古典は、多くの人に語り継がれ、読み継がれてきました。そこには、時代の中で件名に生きる人々の姿、各時代に生きる人々のものの見方や感じ方、豊かな想像力などを見ることができます。
歴史的仮名遣い
現代文に使われている仮名遣いを現代仮名遣いといい、古文に使われている仮名遣いを歴史的仮名遣いといいます。古文を読み解くには、仮名遣いの練習が必要になります。ここをいい加減にすると古文読解は上達しません。
歴史的仮名遣いを現代仮名遣いにするルール
古文の歴史的仮名遣いを現代仮名遣いにするときに、いくつかのルールがあります。
<ルール1>ハ行
単語の最初にないハ行の文字は「わ・い・う・え・お」にする!
- あはれ→あわれ
- おもひ→おもい
- 笑ふ→笑う
- かへす→かえす
- かほ→かお
語尾に来る助詞「は」は、もちろんそのままです。「こんにちは」を「こんにちわ」にしないようにしましょう。
<ルール2>ワ行
ワ行の「ゐ・ゑ・を」はア行の「い・え・お」にする!
- 用ゐる→用いる
- をとこ→おとこ
- こずゑ→こずえ
語尾に来る助詞「を」は、もちろんそのままです。「古文を読む」を「古文お読む」にしないようにしましょう。
<ルール3>ダ行
「ぢ・づ」はザ行の「じ・ず」にする!
- はぢ→はじ
- よろづ→よろず
<ルール4>マ行
「む」は「ん」にする!
- やむごとなし→やんごとなし
<ルール5>カ行
「くゎ・ぐゎ」は「か・が」にする!
- くゎんげん→かんげん
- ぐゎいじん→がいじん
<ルール6>ア段音+「う・ふ」
ア段音+「う」または「ふ」はア段音が同じ行のオ段音にする!
- やうやう→ようよう
- かうし→こうし
<ルール7>イ段音+「う・ふ」
イ段音+「う」または「ふ」は「う・ふ」を「ゅう」にする!
- りうぐう→りゅうぐう
- しんにふ→しんにゅう
<ルール8>エ段音+「う・ふ」
エ段音+「う」または「ふ」はエ段音をイ段音に変えて「う・ふ」を「ょう」にする!
- てふてふ→ちょうちょう
- てうし→ちょうし
ただし、「えう」は「よう」になることが例外としてあります。
古典の意味に注意する
- 現代語と同じ形でも、主な意味が現代では変わってしまった言葉
(例)うつくし…現代語の「美しい」は、主に「きれいだ」という意味を表しますが、古典語では「(小さくて)かわいらしい」様子を表すことが多いです。 - 現代では使われなくなった言葉 (例)あまた…「たくさん」という意味
歴史的仮名遣いの練習問題
次の文章の傍線部を現代仮名遣いに直しなさい。
- 木の陰に下り①ゐて、②かれいひ③食ひけり。
- ①やうやう白くなりゆく②山ぎは、すこしあかりて…。
- ①くゎんぱく殿、黒戸より出でさせ②たまふとて…。
- 野分のまたの日こそ、①いみじう②あはれに③をかしけれ。
解答
- ①いて ②かれいい ③食い
- ①ようよう ②山ぎわ
- ①かんぱく ②たもう
- ①いみじゅう ②あわれに ③おかしけれ
古文の練習問題
次の文章を読んで、次の問に答えなさい。
今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者有りけり。野山にまじりて、竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば讃岐造(さぬきのみやっこ)となむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。(竹取物語)
<問>
- 「なむいひける」を現代仮名遣いにせよ。
- 「寄りて見る」には、だれの動作か。4語で抜き出せ。
- 「三寸ばかりなる人」の後に補うことのできる言葉は、「が」「を」「に」「と」のどれか。
- 「あやしがりて」の現代語訳をかけ。
- 「うつくしうてゐたり」の現代語訳をかけ。
- 現代語の「まこと」という意味の古典語を、本文から抜き出せ。
解答
- なんいいける
- 竹取の翁
- が
- 不思議に思って
- かわいらしい様子で座っていた
- いと
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