中学2年理科。今日は「電磁誘導」について学習します。コイルと磁石を使って電流を生み出す仕組みを理解しましょう。また、どの向きに電流が流れるのかをレンツの法則で判断できるように練習します。直流と交流の違いも忘れずに復習しましょう。
電磁誘導
下の図のように、導線をグルグルに巻いたコイルに棒磁石を近づけたり遠ざけたりすることで、コイルに電流が流れる現象を電磁誘導といいます。
次の( )内に語句を入れれるようにしておきましょう。
ア…磁界
イ…電圧
ウ…誘導
エ…電磁誘導
詳しい仕組みは高校生になってから学習しますので、ここではそういうものなんだくらいの知識で十分です。
誘導電流を大きくるには
電磁誘導で生じる誘導電流を大きくする方法は次の3つです。
- 棒磁石をすばやく動かす
- 磁力が強い磁石に変える
- コイルの巻き数を増やす
棒磁石をすばやく動かすことで、コイルのまわりの磁界が急激に変化し、大きな電圧が生じます。この結果大きな電流が流れるのです。強力な磁石に変えたり、コイルの巻き数を増やすことで、変化する磁界自体を強くする方法でも誘導電流は大きくなります。
この3つの方法の中で、テストや入試で一番聞かれるのが、「棒磁石をすばやく動かす」です。なぜかというと、「実験の器具を変えずに、誘導電流を大きくする方法を答えよ」と聞いてくる場合があるからです。この場合は、磁石やコイルをいじることはできず、磁石をすばやく動かすしか方法が無くなります。
誘導電流の向きを逆にするには
電磁誘導で生じる誘導電流の向きを逆にする方法は次の3つです。
- 棒磁石の極を逆向きにして動かす
- 棒磁石の動かし方を逆にする
- コイルの反対側から棒磁石を動かす
実際には、次のような形で出題されます。
[問題]棒磁石のN極を下にして、コイルの上から棒磁石を近づけた。このときコイルに接続している検流計の針が左に振れた。次の場合、検流計の針はどちらに振れるか。
- 棒磁石のN極を、コイルの上から遠ざける。
- 棒磁石のS極を、コイルの上から近づける。
- 棒磁石のS極を、コイルの上から遠ざける。
[解答] 1.右 2.右 3.左
磁石の極を逆にすれば、検流計の針は逆に振れるし、磁石の動かし方を逆にしても検流計の針は逆に振れます。次のように書き出せばわかりやすいかと思います。
- 問題文…「N・近・左」
- 1 …「N・遠・右」
- 2 …「S・近・右」
- 3 …「S・遠・左」
発電機
この電磁誘導を応用したものが、発電機です。コイルと磁石があれば、電流をつくりだすことができる装置で、手回し発電機や自転車のライトなどが身近にある発電機ではないでしょうか。
発電機の内部には、磁石とコイルが入っており、これを回転するように動かすことで、電磁誘導が起こり電流が流れるという仕組みです。運動エネルギーを電気エネルギーに変換している装置だと言えます。
レンツの法則
レンツの法則が理解できれば、電磁誘導で誘導電流がどの向きに流れるかがわかるようになります。この法則は、ロシアの物理学者、ハインリヒ・レンツさんが発見した法則なので「レンツの法則」という名前が付けられています。
レンツの法則は、電磁誘導で誘導電流が流れる向きは、磁石の動きをさまたげるように誘導電流が流れるという法則です。わかりにくいので図で説明します。
電磁誘導での誘導電流の向き
- 棒磁石のN極を下にして、コイルの上端に近づける。
このとき青い線が棒磁石がつくっている磁界になります。 - コイルに棒磁石の動きをさまたげる(しりぞけ合う)向きに誘導電流が流れる。
コイルの上端がN極になるように(赤いコイルの磁界ができるように)誘導電流が流れる。
今度は、逆に棒磁石のN極を遠ざけてみます。
- 棒磁石のN極を下に向けたまま、コイルの上端から遠ざける。
このとき青い線が棒磁石がつくっている磁界になります。 - コイルに棒磁石の動きをさまたげる(引き合う)向きに誘導電流が流れる。
コイルの上端がS極になるように(赤いコイルの磁界ができるように)誘導電流が流れる。
レンツの法則の確認問題
下の図の1~4のように棒磁石を動かしたとき、コイルの点部を流れる電流はアとイのどちらか。記号で答えよ。
解答・解説
- イ
N極が近づく動きをさまたげるように、コイルの上端がN極になり、しりぞけ合うように誘導電流が流れる。 - ア
N極が遠ざかる動きをさまたげるように、コイルの上端がS極になり、引きつけるように誘導電流が流れる。 - ア
S極が近づく動きをさまたげるように、コイルの上端がS極になり、しりぞけ合うように誘導電流が流れる。 - イ
S極が遠ざかる動きをさまたげるように、コイルの上端がN極になり、引きつけるように誘導電流が流れる。
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