イオンの学習が化学電池まで進むと、あとは酸・アルカリ・中和に関する問題が続きます。酸やアルカリとは何なのか。登場する水素イオンや水酸化物イオンの性質もしっかりと押さえていきましょう。
酸とは?
酸とは、水に溶けると酸性を示す物質です。もしあなたがお風呂に入り、お風呂のお湯が酸性になると、あなたは酸ということになります。有名な酸として、塩化水素や二酸化炭素、硫酸などがあります。
酸の電離
酸を溶かすと電離し、陽イオンと陰イオンが生じます。酸が電離すると必ず水素イオンH+という陽イオンが生じます。つまり、水溶液が酸性になる正体は水素イオンH+なのです。
- 塩化水素(塩酸)の電離
塩化水素→水素イオン+塩化物イオン
HCl→H++Cl– - 硫酸の電離
硫酸→水素イオン+硫酸イオン
H2SO4→2H++SO42-
酸性の水溶液の性質
酸を水に溶かし、酸性にした水溶液には次のような特徴があります。
- 青色リトマス紙を赤色に変える。
- 緑色のBTB溶液を黄色に変える。
- pHが7よりも小さい。
- マグネシウムなどの金属と反応し水素が発生する。
- なめると酸っぱい味がする。
水素イオンの移動問題
塩酸に含まれるイオンの移動に関する問題です。うすい硝酸カリウム水溶液で湿らせたろ紙の上に、うすい塩酸をしみ込ませた糸を置き、下の図のように、電圧をかけるとどのリトマス紙の色が変化するでしょうか。
うすい塩酸中のイオンは、陽イオンの水素イオンH+と陰イオンの塩化物イオンCl–です。電圧をかけると、陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に移動します。
- 陽イオン(水素イオン)H+→陰極側へ移動
- 陰イオン(塩化物イオン)Cl–→陽極側へ移動
酸性の正体は水素イオンH+なので、陰極側の青色リトマス紙が赤色に変化します。
アルカリとは?
アルカリとは、水に溶けるとアルカリ性を示す物質です。もしあなたがお風呂に入り、お風呂のお湯がアルカリ性になると、あなたはアルカリということになります。有名なアルカリとして、水酸化ナトリウムやアンモニア、石灰などがあります。
アルカリの電離
アルカリを溶かすと電離し、陽イオンと陰イオンが生じます。アルカリが電離すると必ず水酸化物イオンOH–という陰イオンが生じます。つまり、水溶液がアルカリ性になる正体は水酸化物イオンOH–になるのです。
- 水酸化ナトリウムの電離
水酸化ナトリウム→ナトリウムイオン+水酸化物イオン
NaOH→Na++OH– - 水酸化バリウムの電離
水酸化バリウム→バリウムイオン+水酸化物イオン
Ba(OH)2→Ba2++2OH–
アルカリ性の水溶液の性質
アルカリを水に溶かし、アルカリ性にした水溶液には次のような特徴があります。
- 赤色リトマス紙を青色に変える。
- 緑色のBTB溶液を青色に変える。
- フェノールフタレイン溶液の色を無色透明から赤色に変える。
- pHが7よりも大きい。
- 皮ふをとかす。
水酸化物イオンの移動問題
水酸化ナトリウム水溶液に含まれるイオンの移動に関する問題です。うすい硝酸カリウム水溶液で湿らせたろ紙の上に、水酸化ナトリウム水溶液をしみ込ませた糸を置き、下の図のように、電圧をかけるとどのリトマス紙の色が変化するでしょうか。
水酸化ナトリウム水溶液中のイオンは、陽イオンのナトリウムイオンNa+と陰イオンの水酸化物イオンOH–です。電圧をかけると、陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に移動します。
- 陽イオン(ナトリウムイオン)Na+→陰極側へ移動
- 陰イオン(水酸化物イオン)OH–→陽極側へ移動
アルカリ性の正体は水酸化物イオンOH–なので、陽極側の赤色リトマス紙が青色に変化します。
酸とアルカリの練習問題
- 水に溶けて電離する物質を何というか。
- 水に溶けて酸性を示す物質を何というか。
- 水に溶けてOH–が生じる物質を何というか。
- 塩化水素が水に溶けて電離するようすを化学式とイオン式で表せ。
- 酸性の水溶液に緑色のBTB溶液を入れると何色になるか。
- 酸性の水溶液のpHは7よりも大きいか小さいか。
- アルカリ性の水溶液には何イオンが存在するか。
- アルカリ性の水溶液は無色透明のフェノールフタレイン溶液の色を何色に変えるか。
解答
- 電解質
- 酸
- アルカリ
- HCl→H++Cl–
- 黄色
- 小さい
- 水酸化物イオン
- 赤色