ニュートンの運動の第一法則である慣性の法則について学習します。物体が運動を続けようとする性質をマスターしましょう。
慣性
慣性とは、一言で簡単に行ってしまうと「運動を続けようとする性質」です。例えば、止まっている物体は止まり続けているし、動いている物体は動き続けようとしますよね。これを詳しく説明しているだけのことです。イギリスのアイザック・ニュートンが証明しました。

ここは記述問題まで詳しく出題されますので、しっかりと書けるように練習しましょう。
慣性の法則の記述
「物体に、外から力がはたらかない場合、もしくは、力がはたらいていてもつり合っている場合、静止している物体は静止をし続け、運動している物体は等速直線運動を続けようとする」ことを慣性の法則といいます。
また、物体が持つこのような性質を「慣性」といいます。慣性は物理界の巨匠「ニュートン」によって唱えられた概念です。なので、ニュートンの運動の第1法則とも呼ばれています。
(問題)慣性とは何か。次の書き出しに続けて「静止」「等速直線運動」という2つの語句を使って説明せよ。「物体に外から力がはたらかない場合、…」
(解答)「物体に外から力がはたらかない場合、静止している物体は静止をし続け、運動している物体は等速直線運動を続けようとする性質。」
慣性の身近な例
身近な物理現象で、慣性の具体例を書かせる問題も頻出です。次の3つを説明できれば問題ないでしょう。
バスが発車するとき

「止まっているバスが発車するとき、体が進行方向と逆方向に傾く」
これは、静止をしているバスにエンジンのパワーが加わり動き出しますが、バスに乗っている人はそのまま、その場所に静止をし続けようとして、バスの進行方向とは逆向きに傾いてします現象です。
バスが急停車したとき

「動いているバスが急停車すると、体が進行方向に傾く」
バスにはブレーキの摩擦力がはたらき速度が落ちますが、バスの中でバスと一緒に運動している人は、そのままの速度で等速直線運動を続けようとするので、進行方向に体が傾いてしまします。
ダルマ落とし
「ダルマ落としで、胴の一部をたたいて横に弾き飛ばしても、その上のダルマの頭部は、そのまま下に落ちる」
胴の一部に力を加えると、その部分は力の向きに弾き飛ばされますが、その上の部分には力が加わっていないので、そのまま静止し続け、下に落ちる。
【対策問題】慣性の法則
下図のように、電車の中にいるAくんは、電車が発車するときと、電車が停車するときに自分のからだが傾くことに興味を持った。これについて、次の各問いに答えなさい。

(1)電車が図の進行方向に急発進したとき、Aくんのからだはアとイのどちらに傾くか。記号で答えなさい。
(2)電車が急発進したとき、からだが(1)の向きに傾いたのは、物体がもつ性質によるものである。この性質を何というか。
(3)(2)の性質による起こる現象として正しいものを、次のア~エからすべて選び、記号で答えなさい。
ア 坂道を自転車で下るとき、ペダルをこがなくてもだんだん速くなる。
イ 紙の上に消しゴムを乗せ紙だけを勢いよく横に引くと、消しゴムはその場にとどまった。
ウ 車に乗っているとき、カーブを曲がるときからだが外側に傾いた。
エ 氷の上でスケートを履き押し合うと、両方に離れていく。
(4)次の分は、Aくんが電車の中で感じたことをまとめたものである。文中の①と②に適する語句を書きなさい。
【解答・解説】慣性の法則
(1)ア
電車にはモーターの力がはたらき、進行方向にだんだん速くなっていきますが、電車に乗っているA君には力がはたらかないので、その場にとどまろうとします。
(2)慣性
物体に外から力がはたらかない場合や、力がつり合っている場合、静止している物体は静止をし続け、運動している物体は等速直線運動を続けようとします。この物体が持つ性質を慣性といいます。
(3)イ、ウ
イは、消しゴムがその場に静止し続けた結果で、ウは、車の進行方向に等速直線運動を続けようとした結果である。アは、力がはたらきだんだん速くなる運動説明しており不適。エは、作用・反作用の法則の具体例である。
(4)①静止 ②等速直線運動
慣性の法則とは、物体に外から力がはたらかない場合や、力がつり合っている場合、静止している物体は静止をし続け、運動している物体は等速直線運動を続けようとする法則です。
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