中学2年理科。真空放電について学習します。クルックス管を使った真空放電の実験について詳しく学習します。
真空放電とは
真空放電とは、放電管内の空気を抜いて、気圧が低い状態し、放電管の両端に高い電圧をかけることで起こる放電現象です。次の手順で実験を行います。
- 放電管内の空気を真空ポンプで抜き、圧力が低い状態にする。
- 誘導コイルを使って放電管の両端に高い電圧を加える。
- 管内のようすを観察する。
放電管内に青い線が見えます。これは、放電管の両端に強い電圧を加えることで、放電管内に電流が流れたためです。この電流の正体は電子というマイナスの電気を帯びた粒子で、空気中の酸素や窒素原子と電子が衝突することで、青い光の線が見えるのです。
誘導コイルと真空ポンプ
この実験で使う誘導コイルとは、高い電圧を発生させる装置です。よくテレビであっている科学実験で登場する、静電気を発生させるマシーンのようなものになります。
真空ポンプとは、その名の通り、放電管内の空気を抜いて真空に近い状態にする装置です。地球上で本当の真空はつくれないので、気圧が低い状態になります。
クルックス管を使った放電現象
放電管よりも少し大きなクルックス管を使った放電実験もあります。クルックス管(真空放電管)の実験では、どれが何極なのかをしっかりと覚える必要があります。実験の概要は放電管の実験と同じです。
クルックス管の両端に誘導コイルを使って高い電圧を加えると、図でいうとクルックス管の左側の陰極から明るい線が見え始めます。この線を陰極線といいます。
電子線(陰極線)
この陰極線の正体ですが、次の実験より、マイナスの電気を持った電子であることがわかりましたので、陰極線といってもいいのですが、電子線とも呼ばれるようになっています。
クルックス管内の陰極線に対して、垂直になるように電圧を加えます。上の図では上側に-極、下側に+極を接続します。この状態で、クルックス管に電圧を加えると、陰極線は+極がある下側に曲がります。電子線(陰極線)の正体はマイナスの電気を帯びた粒子「電子」なので、-極と反発し、+極に引き寄せられるためです。
このことから、陰極線の正体はマイナスの電気を持った電子だということがわかります。
❷陰極線(電子線)の正体である電子は−極から+極に移動する。
❸陰極線(電子線)の正体である電子は-の電気を持った粒である。
電流の流れと電子の移動する向き
電子は電源の-極から+極に移動すると学習しました。しかし、最初に学習した電流は、+極から-極に流れると学習したはずです。
- 電子… -極 → +極
- 電流… +極 → -極
教科書や参考書には、「電流の向きと電子の向きは逆になる」と説明がしてありますが、これはなぜなのでしょうか。
結論から言ってしまうと、導線の中を何かが流れている。その何かを最初に発見した人物が電流としました。電流はプラスからマイナスに流れるものと決めたのです。
それから時が経って、電子というものが電気の流れの元であるとわかったのです。この電子はクルックス管の実験からもわかるように、-極から+極に向かって移動していることが判明しました。
ちょっとややこしいのですが、そういう決まりなのだと割り切って覚えてしまいましょう!
【対策問題】真空放電の問題
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