中学国語の「用言の活用」をまとめています。ここでは、用言の活用のしかた、動詞の活用の種類、動詞・形容詞・形容動詞の活用を覚えていくことが大切となります。それでは、中学国語の「用言の活用」をみていきましょう。
用言とは
用言とは、単語の中でも活用がある自立語で、述語になれるものの総称です。活用とは、後ろにつく単語で語尾が変化すること、自立語とは、単独で文節をつくれるものです。用言には、動詞・形容詞・形容動詞があります。
用言の活用
用言の活用とは、後につく言葉や文中での働きにとって、単語の形が規則的に変化することをいいます。
「高い」→高かろう・高かった・高くない・高い・高いとき・高ければ
活用する一つ一つの形を活用形といいます。活用しても常に変化しない部分を語幹、変化する部分を活用語尾といいます。
動詞
事物の動きや存在を表す言葉が動詞です。自立語で、活用があり、言い切りの形がウ段で終わります。(例)勉強する、歌う
動詞の活用形
- 未然形…「ない(助動詞)・う・よう・れる・せる・ぬ」などに続く。
- 連用形…用言や「ます・た・て」などに続く。
- 終止形…言い切る形。「と・から・けれど」などに続く。
- 連体形…体言や「ので・のに」などに続く。
- 仮定形…「もし…すれば」のように仮定するときの形。「ば」に続く。
- 命令形…命令して言い切る形。
動詞の活用の種類
- 五段活用…書く、立つなど。「ない」をつけ、直前が「ア」段の音。
- 上一段活用…過ぎる、落ちるなど。「ない」をつけ、直前が「イ」段の音。
- 下一段活用…受ける、建てるなど。「ない」をつけ、直前が「エ」段の音。
- カ行変格活用…カ行で特殊な活用をする。「来る」の一語のみ。
- サ行変格活用…サ行で特殊な活用をする。「する」「勉強する」など「する」がつく動詞
「来る」「する」などの一部の動詞は、語幹と活用語尾が区別できません。
動詞の活用表
活用形(活用語尾) | |||||||
活用の種類 | 例語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
五段 活用 |
書く | か こ |
き い |
く | く | け | け |
上一段 活用 |
起きる | き | き | きる | きる | きれ | きよ きろ |
下一段 活用 |
寝る | ね | ね | ねる | ねる | ねれ | ねよ ねろ |
カ行変格 活用 |
来る | こ | き | くる | くる | くれ | こい |
サ行変格 活用 |
する | し さ(せる) せ(ぬ) |
し | する | する | すれ | しろ せよ |
カ行変格活用は「来る」のみ、サ行変格活用は「する」と「外来語+する」のみになります。
❶カ行変格活用「来る」、サ行変格活用「する」かどうかを見る!
※サ変には「~+する」も含まれます。
❷その他は「ない」をつけて語尾が何段に活用するか見る!
ア段→五段活用(例:書かァない)
イ段→上一段活用(例:落ちィない)
エ段→下一段活用(例:溶けェない)
動詞の種類
動詞は次のように分類できます。
❶自動詞と他動詞
- 自動詞…動作の対象を必要としない動詞(例:鐘が鳴る)
- 他動詞…動作の対象を必要とする動詞(例:私は鐘を鳴らす)
他動詞は、「~を…」という形になるので判断できます。
❷可能動詞
「~できる」の意味を持つ下一段活用の動詞を可能動詞といいます。可能動詞は、五段活用の動詞の未然形に、助動詞の「れる」がついて縮まった、下一段活用の動詞になります。
五段活用に「れる」が付いたときだけ可能動詞になるので間違えないように注意しましょう。
- 泳げる…泳ぐ(五段活用)+助動詞「れる」
- 書ける…書く(五段活用)+助動詞「れる」
次の可能動詞は存在しません。以下の言葉は「ら抜き言葉」といって、間違った使われ方になります。未然形に助動詞の「られる」が付いた形が正しい表現方法です。
- ×食べれる…正しくは「食べられる」
- ×起きれる…正しくは「起きられる」
❸補助動詞
他の語について、補助的な役割で使われる動詞を補助動詞といいます。上の文節の補助に用いられます。「ある」「おく」「いる」「いく」「みる」「くる」「しまう」「やる」などが代表的な補助動詞です。次の例文で確認しましょう。
<補助動詞>キッチンの皿を洗ってみる。
判断が付きにくいこともあるので、「青いミルクしまってやる!」の語呂で覚えておきましょう。「ある」「おく」「いる」「いく」「みる」「くる」「しまう」「やる」
「おく」キッチンの皿を洗っておく。
「いる」キッチンの皿を洗っている。
「いく」キッチンの皿を洗っていく。
「みる」キッチンの皿を洗ってみる。
「くる」キッチンの皿を洗ってくる。
「しまう」キッチンの皿を洗ってしまう。
「やる」キッチンの皿を洗ってやる。
動詞の音便
音便とは五段活用の連用形に「た」や「て」が付くとき、発音しやすいように音が変化することを音便といいます。動詞の音便は三種類あります。
- イ音便
「く・ぐ」などで終わる動詞の連用形が「い」に変化する。
(例)「付く」+「た」=付きた→付いた - 促音便(そくおんびん)
「う・つ・る」などで終わる動詞の連用形が「っ」に変化する。
(例)「勝つ」+「た」=勝ちた→勝った - 撥音便(はつおんびん)
「む・ね・ぶ」などで終わる動詞の連用形が「ん」に変化する。
(例)「結ぶ」+「た」=結びた→結んだ
動詞の確認問題
(1)次の動詞の活用の種類を答えよ。
①読む ②植える ③似る ④する ⑤来る
(2)次の文の下線部の活用形を答えよ。
「彼は、先頭を走っている。」
(3)「壊れたー壊した」と文法上同じ関係にあるものを次から選び、記号で答えよ。
ア:思ったー思えた イ:生まれたー生んだ
ウ:動いたー動けた エ:遊べたー遊んだ
(4)次の中から可能動詞をすべて選べ。
ア:いえる イ:教える ウ:逃げる エ:枯れる オ:読める
動詞の解答
(1)①五段活用 ②下一段活用 ③上一段活用 ④サ行変格活用 ⑤カ行変格活用
(2)連用形
音便(促音便)はすべて連用形になります。また、「~ます・~た・~て」につながるのが連用形です。
(3)イ
「私が壊した」→自動詞「私が時計を壊した」→他動詞。このように、「~を…」となるのが他動詞です。「私が生まれた(自動詞)」「私が子どもを生んだ(他動詞)」。
(4)ア、オ
可能動詞は五段活用の動詞のみです。
形容詞
事物の性質や状態を表す言葉が形容詞です。自立語で、活用があり、言い切りの形が「い」で終わる単語。(例)きれい、美しい、楽しい
形容詞の活用
形容詞の活用形は、未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形の5種類があります。命令形はありません。覚える量は少ないので、活用語尾を「かろ・かっ・く・う・い・い・けれ」と覚えてしまいましょう。
活用形(活用語尾) | |||||||
例語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | |
形容詞 | 高い | かろ | かっ く う |
い | い | けれ | × |
後に続く言葉 | う | た なる |
× | 時 | ば | × |
形容詞の活用は覚えてしまいましょう。
「かろ・かっ・く・う・い・い・けれ」
形容詞の音便
形容詞の音便は、連用形が「ございます」などに続くときの変化で、ウ音便になります。
- 美しゅうございます…「美しく+ごさいます」
- 寒うございます…「寒く+ございます」
「美しゅうございます」の場合は、語幹も変化していますが、「寒うございます」の場合は、活用語尾のみ変化しています。
形容動詞
形容詞と同じく、事物の性質や状態を表す言葉が形容動詞です。自立語で、活用があり、言い切りの形が、「だ、です」で終わる単語。(例)きれいだ、変だ
形容動詞の活用
形容動詞の活用形は、未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形の5種類があります。命令形はありません。覚える量は少ないので、活用語尾を「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と覚えてしまいましょう。
活用形(活用語尾) | |||||||
例語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | |
形容動詞 | 静かだ | だろ | だっ で に |
だ | な | なら | × |
後に続く言葉 | う | た ある なる |
× | 時 | ば | × |
形容動詞の活用も覚えてしまいましょう。
「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」
用言(動詞・形容詞・形容動詞)の確認問題
(1)次の文から用言を抜き出し、品詞名を答えよ。
「柔らかいものが静かに横たわっていた。」
(2)次の下線部の部分の活用形を答えよ。
「思いのほか①早く事業が②完成して、③りっぱな建物を後世に残すことができた。」
(3)次の文の下線部の中から、他と品詞の異なるものを選び、記号と品詞名を書け。
ア:まさに彼女の美しさを表現している。
イ:もうすでに、今日という日が始まっている。
ウ:色と光の移り変わりは、実に微妙である。
エ:春の美しさを、さわやかに描いてみせた。
解答
(1)柔らかい:形容詞 静かに:形容動詞 横たわっ:動詞
(2)①連用形 ②連用形 ③連体形
(3)エ
エのみ活用できます。形容動詞になります。
以上が用言のポイントです。活用については最初は苦労すると思いますが、あきらめずに頑張ってください。
コメント