中学2年理科。今日は天気分野の「海陸風」が吹く理由について説明します。これは季節風の原理にもなるので、理由をしっかりと覚えましょう。海陸風や季節風は日本の天気とあわせて出題されるので、日本の天気の特徴もあわせて確認してみてください。
海陸風
海陸風とは、よく晴れた日の昼と夜に陸と海の間で吹く風のことです。海の近くに住んでいる人ならわかるはずですが、よく晴れた日のお昼は、海から陸に向かって風が吹き、よく晴れた日の夜は、陸から海に向かって風が吹きます。この風を海陸風というのです。
物質の温まりやすさ
海陸風を勉強する前に、物質の温まりやすさについて学習しておきましょう。自分たちのまわりにある物質は、それぞれ温まりやすさが異なります。すぐに温まってしまう物質やなかなか温まらない物質など、物質ごとに異なります。
ここでは、陸を構成する土や岩石と、海を構成する水の温まりやすさを覚えておきましょう。
- 陸(土や岩石)
あたたまりやすく冷めやすい。 - 海(水)
あたたまりにくく冷めにくい。
温まりにくい物質は比熱が大きく、温まりやすい物質は比熱が小さいといったりもします。比熱とは、その物質1gを温めるのに必要な熱量のことです。参考までにのせておきます。
海風
海風(うみかぜ・かいふう)は、よく晴れた日のお昼に、海から陸に向かって吹く風のことです。晴れた日のお昼に海岸線に行くと、海から風が吹いてきて、磯の香りに包まれますよね。あれが海風です。
海風が吹く仕組み
では、なぜ海風が吹くのでしょうか。この理由をしっかりと答えられるようになっておきましょう。海風が吹く理由は以下の通りです。
- よく晴れたお昼、日射が強くなり温まりやすい陸の温度がすぐに上昇する。
海に比べて、陸の方が温まりやすい。 - 陸の上にある空気が温められ、上昇気流が発生する。
あたためられた空気は密度が小さくなり上に移動する。 - 上昇気流により、陸の気圧が下がる。
海と比べて気圧が低い「低圧部」になる。 - 陸の上の空気が上空へ行ってしまったので、海から陸に向かって空気が流れてくる。
この空気の流れを海風といいます。 - 海上に上空から空気が降りてきて気圧が上昇する。
陸に比べて気圧が高い「高圧部」になる。
陸風
陸風(りくかぜ・りくふう)は、よく晴れた日の夜に、陸から海に向かって吹く風のことです。晴れた日の夜に海岸線に行くと、陸から海に向かって風が吹いていて、海に引きずられそうな怖い思いをしたことはありませんか。
陸風が吹く仕組み
陸風は、次のような仕組みで吹きます。
- 昼の間にあたためられた陸はすぐに冷める。
陸はあたたまりやすく冷めやすい。 - 昼の間にじわじわとあたためられた海の水は、夜になってもなかなか冷えない。
海の水はあたたまりにくく冷めにくい。 - 海上の空気があたためられ、上昇気流が発生する。
あたためられた空気は密度が小さくなり上に移動する。 - 上昇気流により、海側の気圧が下がる。
陸と比べて気圧が低い「低圧部」となる。 - 海上の空気が上に行ってしまったので、陸から海に向かって空気が流れてくる。
この空気の流れを陸風といいます。 - 陸上に上空から空気が降りてきて気圧が上昇する。
海と比べて気圧が高い「高圧部」になる。
凪(なぎ)
一日のうちで海風と陸風が切り替わる時間帯があります。この時間帯は風がとまり、海の波もおだやかになります。この無風となる現象を凪(なぎ)といいます。凪は一日で二度あり、朝に「朝凪」が、夕方に「夕凪」があります。
季節風
季節風(きせつふう)とは、季節により風向きが変化する風のことです。日本は大きな大陸(ユーラシア大陸)と大きな海洋(太平洋)のはざまに位置しており、海風と陸風が吹く海岸線のような場所となっています。このため、季節によって大陸側から吹く風と、海洋側から吹く風が切り替わります。
夏の南東の季節風
夏になると、海洋(太平洋)側から暖かく湿った季節風が吹きます。風向は南東です。この季節風を夏の季節風といいます。
夏の季節風が吹く仕組みは次の通りです。
- 夏は、日射が強くなり温まりやすい大陸(ユーラシア大陸)の温度がすぐに上昇する。
海に比べて、陸の方が温まりやすい。 - 大陸の上にある空気が温められ、上昇気流が発生する。
あたためられた空気は密度が小さくなり上に移動する。 - 上昇気流により、大陸の気圧が下がる。
海と比べて気圧が低い「低圧部」になる。 - 大陸の空気が上空へ行ってしまったので、海洋側から大陸に向かって空気が流れてくる。
この空気の流れが夏の季節風になります。 - 海洋側では上空から空気が降りてきて気圧が上昇する。
大陸に比べて気圧が高い「高圧部」になる。これが小笠原気団です。
冬の北西の季節風
冬になると、大陸(ユーラシア大陸)側から冷たく乾燥した季節風が吹きます。風向は北西です。この季節風を冬の季節風といいます。
冬の季節風が吹く仕組みは次の通りです。
- 夏の間にあたためられた大陸はすぐに冷める。
大陸はあたたまりやすく冷めやすい。 - 夏の間にじわじわとあたためられた海の水は、冬になってもなかなか冷えない。
海の水はあたたまりにくく冷めにくい。 - 海洋上の空気があたためられ、上昇気流が発生する。
あたためられた空気は密度が小さくなり上に移動する。 - 上昇気流により、海洋側の気圧が下がる。
大陸と比べて気圧が低い「低圧部」となる。 - 海洋上の空気が上に行ってしまったので、大陸側から海洋に向かって空気が流れてくる。
この空気の流れを冬の季節風といいます。 - 大陸に上空から空気が降りてきて気圧が上昇する。
海洋側と比べて気圧が高い「高圧部」になる。これがシベリア気団です。
冬の日本海側の天気
冬の季節風は、ユーラシア大陸側から吹く、冷たく乾燥した風でした。ではなぜ乾燥した空気が日本の日本海側の地域に大雪をもたらすのでしょうか。それは、冷たく乾燥した冬の季節風に対し日本海は温泉みたいな状態になっているからです。
- 冷たく乾燥した冬の季節風が大陸から吹いてくる。
- 季節風に対し温かい日本海の上空を通過するときに、大量の水蒸気を含む。
- 大量の水蒸気を含んだ季節風が日本の山脈にぶつかり、日本海側の地域に大量の雪をもたらす。
- 雪や雨を降らせたあとは乾燥した空気となり、山脈を超えて太平洋側の地域に流れる。
- 太平洋側は乾燥した晴れの日が続くことが多い。
以上で、海陸風と季節風の説明が終わりになります。
コメント
[…] 夏には、猛暑と無風の時間帯を経て、午後から海陸風/シーブリーズが強く吹く。 […]