中学2年理科。天気の単元の雲のでき方について学習しましょう。空に浮かぶ雲がどうやってできるのか、その仕組みをマスターします。
雲のでき方の実験
雲のでき方を調べるために、丸底フラスコと注射器を使った実験を行います。フラスコ内の変化と、雲ができるメカニズムをしっかりとマスターしてください。
実験をする前に、丸底フラスコ内に少量の水と線香の煙を入れておきます。
A:フラスコ内の湿度を上げるため。
Q:フラスコ内に線香の煙を入れる理由は?
A:水蒸気が水滴になるときの凝結核になるから。
どちらも雲ができやすくする工夫なんですね。凝結核というキーワードも覚えておいてください。
フラスコ内の変化
下のような図の装置を組み立て、注射器のピストンを引きます。そうすると、フラスコ内では次のような変化が起こります。
ピストンを強く引くと
- フラスコ内の気圧が下がる。
- フラスコ内の空気が膨張する。
- フラスコ内の気温が下がる。
気温が下がると、水蒸気が水滴に変わる温度である露点に達します。空気の温度が露点に達すると、空気中の水蒸気が水滴に変わります。その結果フラスコ内が白くくもります。
この実験では、雲の正体が水滴であることもわかりますね。
自然界での雲のでき方
自然界でも、丸底フラスコ内のような変化が起こっています。下の図を見てください。
自然界での雲のでき方は何パターンかありますが、すべて次の条件を備えています。
まずは空気が上昇するととが必要です。山の斜面に沿って空気が上昇したり、太陽であたためられた空気が上昇したりすると次のような変化が起こります。
- あたたかい空気が上昇する。
- 上空に行くと気圧が下がります。
- 気圧が下がると空気が膨張して膨らみます。
- 空気が膨張すると気温が下がります。
気温が下がると、空気の温度が露点に達し、空気中の水蒸気が水滴に変化します。この変化は丸底フラスコを使った実験と全く同じですね。
自然界で雲ができる4パターン
次のような条件下で雲ができます。
- 山の斜面に沿って空気が上昇するとき
- 太陽で地面が熱せられたとき空気が上昇するとき
- 前線に沿って空気が上昇するとき
- 低気圧の上昇気流に乗って空気が上昇するとき
共通していることは「上昇」ですね。自然界では上昇気流が起こっているところで雲ができるのです。
【問題】雲のでき方の問題
下図のような装置をつくり、丸底フラスコに少量の水と線香の煙を入れ、大型の注射器のピストンをすばやく押したり引いたりして、フラスコの中のようすを観察した。次の各問いに答えよ。
(1)ピストンをすばやく引くと、フラスコ内が白くくもった。このときフラスコ内に何が生じているか。
(2)フラスコの中に少量の水を入れる理由を答えよ。
(3)フラスコの中に線香の煙を入れる理由を答えよ。
(4)ピストンを強く引いたときどのような変化が生じているか。次の文の( )に適する語を記入せよ。
(5)この実験と同じような原理で自然界でも雲ができる。自然界で雲ができるには上昇気流と下降気流のどちらが生じないといけないとわかるか。
(6)この後、ピストンを強く押すと、フラスコ内にはどのような変化が生じるか。
【解答・解説】雲のでき方の解答
(1)水滴(水)
ガラスなどが白くくもっているとき、水蒸気が凝結して水滴がついています。
・ガラスが白くくもった→水滴が生じた!
(2)フラスコ内の湿度をあげるため。
水蒸気を補い、ある程度湿度が高い状態にしないと雲ができません。
(3)水蒸気が水滴になるときの凝結核をつくるため。
水蒸気が凝結し、水滴になるには、水滴ができる中心(凝結核)が必要です。
(4)①下が ②膨張 ③下が ④露点 ⑤凝結
気圧が下がる→空気が膨張する→気温が下がる→露点に達する→水蒸気が凝結し水滴になる。
❶フラスコ内の気圧が下がる。
❷フラスコ内の空気が膨張する。(空気の体積が大きくなる)
❸フラスコ内の気温が下がる。
❹フラスコ内の温度が露点に達する。
❺水蒸気が水滴(雲)に変わる。
(5)上昇気流
気圧が下がるためには、空気が上昇しないといけません。なので、上昇気流が生じているところでは雲が多く発生します。

(6)くもりが消える。
ピストンを強く押すと、気圧が上昇して空気が圧縮され、気温が上昇して水滴が水蒸気にかわります。そのため、フラスコ内のくもりが消えるのです。
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