【中2理科】炭酸水素ナトリウムの熱分解を徹底解説!反応の仕組み&演習問題付き

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炭酸水素ナトリウムの熱分解は、中学2年生の理科で学ぶ重要な化学反応の一つです。試験では、分解後に発生する物質の種類や性質、反応式の理解、実験結果の考察などがよく問われます。

この記事では、炭酸水素ナトリウムの熱分解の仕組みをわかりやすく解説し、演習問題(解答付き)を用意しました! テスト対策としてしっかり復習し、理解を深めていきましょう!

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炭酸水素ナトリウムの熱分解

炭酸水素ナトリウムは、私たちに非常に身近な物質で、ホットケーキミックスに入っているベーキングパウダーや、ふくらし粉重曹(じゅうそう)などにも含まれて物質です。加熱や水に溶かすことで二酸化炭素が発生する物質で、ホットケーキをふっくらとふくらまかせたりする役割を担っています。

白色の炭酸水素ナトリウムを試験管に入れ、ガスバーナーで加熱すると、白色の物質が試験管に残り、試験管の口付近に液体が生じ、同時に気体も発生します。

炭酸水素ナトリウム

加熱後に残る白い物質は、水に溶けやすく、フェノールフタレイン溶液を入れると濃い赤色になります。加熱後に残る固体炭酸ナトリウムです。

加熱後に、試験管の口付近につく液体に青色の塩化コバルト紙をつけると、青色から赤色に変化します。加熱後に生じた液体です。

発生した気体を石灰水に通すと、石灰水が白くにごります加熱後に発生した気体二酸化炭素になります。

炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの比較

加熱前の炭酸水素ナトリウムも、加熱後に試験管に残る炭酸ナトリウムも、どちらも白い固体で別の物質に変わったかがわかりません。ここでは違う物質であることを調べる実験と、その結果をよく聞かれます。

加熱前の物質 加熱後の物質
物質名 炭酸水素ナトリウム 炭酸ナトリウム
水への溶け方 水に少し溶ける 水によく溶ける
フェノールフタレイン液 薄い赤色 濃い赤色
水溶液の性質 弱いアルカリ性 強いアルカリ性

炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式

炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO₃です。「なほ子さん」と覚えてください。炭酸ナトリウムの化学式Na₂CO₃です。「なつ子さん」と覚えましょう。

炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水
2NaHCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O

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【理科問題】炭酸水素ナトリウムの熱分解

問題下図のように、炭酸水素ナトリウム3.0gを十分に熱したところ、気体が発生し、試験管の口付近に液体がついていた。また、加熱後の試験管内には白色の固体が残っていた。残った白い個体の質量を測定すると2.5gであった。次の各問いに答えよ。ただし、試験管内の炭酸水素ナトリウムは完全に反応したものとする。

炭酸水素ナトリウムの熱分解

(1)上の図のような気体の集め方を何というか。

(2)上の図のような集め方をするような気体にはどのような性質があるか。

(3)集めた気体を石灰水に通すとどうなるか。

(4)発生した気体は何か。

(5)発生した気体から炭酸水素ナトリウムにはどんな原子が含まれているとわかるか。原子の記号で2つ答えよ。

(6)試験管の口付近についていた液体に塩化コバルト紙をつけると、何色から何色に変化するか。

(7)塩化コバルト紙の色の変化から何が発生したとわかるか。

(8)発生した液体から炭酸水素ナトリウムにはどんな原子が含まれているとわかるか。原子の記号で2つ答えよ。

(9)炭酸水素ナトリウムと、加熱後に試験管に残った白色の固体が別の物質であることを確かめる方法と、その結果を簡潔に答えよ。

(10)炭酸水素ナトリウムのように、加熱して別の物質に分かれるような化学変化を特に何というか。

(11)炭酸水素ナトリウムの化学変化を化学反応式で表せ。

(12)実験では3.0gの炭酸水素ナトリウムを加熱すると、2.5gの炭酸ナトリウムが残ったが、4.5gの炭酸水素ナトリウムを加熱すると、合計で何gの液体と気体が生じるか。

(13)炭酸水素ナトリウムはベーキングパウダーやふくらし粉にも含まれている。この実験からホットケーキが膨らむ理由を簡潔に答えよ。

【解答・解説】炭酸水素ナトリウムの熱分解

(1)水上置換法
水で覆われた状態で気体を集めるので、発生した気体を確認でき、純粋な気体を集めることができます。

気体の集め方水上置換法…水に溶けにくい気体(例)水素、酸素、二酸化炭素
上方置換法…水に溶けやすく、空気より密度が小さい気体(例)アンモニアのみ
下方置換法…水に溶けやすく、空気より密度が大きい気体(例)塩素、二酸化炭素

(2)水に溶けにくい性質
水に溶けにくい気体はすべて水上置換法で集めます。水に溶けやすい気体は、空気より軽い場合「上方置換法」、空気より重い気体は「下方置換法」で集めます。

(3)白くにごる。
発生した気体が二酸化炭素であるかどうかを調べるには石灰水に通して、白くにごるかどうかを調べます。

気体の判別方法二酸化炭素…石灰水に通すと白くにごる。
酸素…線香の火を近づけると激しく燃える。
水素…マッチの火を近づけると爆発して水ができる。

(4)二酸化炭素
石灰水が白くにごったことから、発生した気体は二酸化炭素であることがわかります。

(5)C、O
発生した気体である二酸化炭素の化学式はCO₂です。このことから炭酸水素ナトリウムには炭素Cと酸素Oの2つの原子が含まれているとわかります。

(6)青から赤
塩化コバルト紙は水があるかどうかを調べる試験紙です。水につけると色が青色から赤色に変化します。

塩化コバルト紙と反応して、青色から赤色に変化する。

(7)
塩化コバルト紙の色が青色から赤色に変化したことから、発生した液体が水であることがわかります。

(8)H、O
発生した液体である水の化学式はH₂Oです。このことから炭酸水素ナトリウムには水素Hと酸素Oの2つの原子が含まれていることがわかります。

(9)水に溶かしフェノールフタレイン溶液を入れると、炭酸水素ナトリウムはうすい赤色になり、加熱後の白い個体は濃い赤色になる。
炭酸水素ナトリウムは水に少し溶け弱いアルカリ性を示す物質です。加熱後の白い個体である炭酸ナトリウムは、水のよく溶け強いアルカリ性を示す物質です。

炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの違い炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの違い

(10)熱分解
1種類の物質が2種類以上の別の物質になる化学変化を「分解」といいます。中でも加熱によって起こる分解を「熱分解」といいます。

(11)2NaHCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O
炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO₃(ナホコさん)で、加熱後の白い物質である炭酸ナトリウムの化学式はNa₂CO₃(ナツコさん)です。Na原子の数を見れば、どこに係数をつければよいかがわかります。

(12)0.75g
炭酸水素ナトリウム3.0gの熱分解で発生した二酸化炭素と水の質量の合計は、3.0-2.5=0.5gです。今度は炭酸水素ナトリウムを4.5g加熱しているので、3.0:0.5=4.5:xを計算すると、x=0.75と求めることができます。

(13)熱分解により二酸化炭素が発生するから。
ベーキングパウダーに含まれる炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素が発生し、ホットケーキがふっくらと膨らみます。

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