中学3年理科。今日はエネルギーの移り変わりや熱の伝わり方について学習します。どのような装置が何エネルギーを何エネルギーに変換しているのかを理解し、3つの熱の伝わり方をマスターしましょう。火力・水力・原子力の発電方法でのエネルギーの移り変わりも見ていきます。
エネルギーの移り変わり
下の図は、ガスバーナーでフラスコの水を加熱し、出てきた水蒸気で羽根車を回す装置です。羽根車にはおもりをつけた糸が巻き付けてあり、羽根車が回転すると糸が巻き取られ、おもりの位置が高くなっていきます。
このときのエネルギーの移り変わりを見ていきましょう。まずはガスバーナーから出るガスです。ガスに火をつけると燃焼し、高温になります。燃焼という化学変化で、ガスから熱エネルギーをとり出せました。ということは、ガスには何かしらのエネルギーがあったということになります。ガスのように、化学変化で取り出せるエネルギーを化学エネルギーといいます。
次に、ガスが燃焼し出てきた熱エネルギーですが、この熱によってフラスコ内の水が温められ沸騰し、水蒸気が発生しています。この水蒸気により羽根車が回転します。回転したということは運動エネルギーになったということですね。
最後に、羽根車が回転することで、おもりが巻き上げられます。おもりの位置が上昇したので、位置エネルギーが発生しました。
このように、ガスが持つ化学エネルギーが移り変わり、最終的におもりの位置エネルギーに変化しました。
エネルギーの変わり方
上の装置でのエネルギーの移り変わり方です。
- ガス…化学エネルギー
↓
燃焼(化学変化)
↓ - 水…熱エネルギー
↓
沸騰(水蒸気の発生)
↓ - 羽根車…運動エネルギー
↓
糸を巻き上げる
↓ - おもり…位置エネルギー
このとき、熱エネルギーの一部は、空気中に逃げていることも覚えておきましょう。
いろいろな道具とエネルギーの変わり方
普段、生活の中で使っている道具は、さまざまなエネルギーを利用しています。これらの道具で、何エネルギーが何エネルギーに変換されているのかを確認しておきましょう。
火おこし器(火きり)
摩擦によって熱を発生させ、火を起こす器具です。
運動エネルギー→熱エネルギー
エンジン
車を動かすエンジンでは、ガソリンを燃焼させ発生した熱により車を動かしています。
熱エネルギー→運動エネルギー
発電機
発電機内には磁石とコイルがあり、発電機を回すことで電磁誘導を起こし電気を取り出しています。
運動エネルギー→電気エネルギー
モーター(電動機)
電流を流すことで、モーターが回転します。発電機とは逆の関係になっています。
電気エネルギー→運動エネルギー
電熱線(電気ストーブ)
電流を流すことで、発熱し熱くなります。
電気エネルギー→熱エネルギー
ペルチェ素子
2枚の金属板に電流を流すと温度差が生じ水を温めたり、水滴を凍らせたりすることができる装置です。逆に2枚の金属板に温度差を生じさせると、電流が取り出せます。
電気エネルギー↔熱エネルギー
スピーカー
電流が流れると、スピーカー内のコイルが振動し音が出ます。
電気エネルギー→音エネルギー
マイク
音(空気の振動)で電磁誘導を起こし、電流が流れます。
音エネルギー→電気エネルギー
豆電球
電流を流せば光ります。
電気エネルギー→光エネルギー
光電池
光をパネルに当てると、電流が流れます。
光エネルギー→電気エネルギー
ろうそく
火をつけると燃焼し、光や熱を出します。
化学エネルギー→光エネルギー+熱エネルギー
光合成
植物は、日光を浴びてデンプンをつくりだします。デンプンの中には化学エネルギーがあります。
光エネルギー→化学エネルギー
以上がよく出る道具や装置です。
コメント
エンジンはガソリンの化学エネルギーを酸素と反応させて発生した気体による
体積の増加を利用したもので、熱エネルギーは副次的に発生するだけです。
なので内燃機関には「熱効率」という考えがあるわけです。
(いかに熱を発生させないようにするか)
またラジエターというわざわざ熱を捨てる装置があることからもわかると思います。
蒸気機関は熱エネルギーを運動エネルギーに変えるといえますが
自動車のエンジンは化学エネルギーを運動エネルギー
という方が正しいのではありませんか?