中和に関する問題演習を行います。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和、硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和まで、しっかりと確認しましょう。
中和の確認問題
- 酸とアルカリの水溶液を混ぜるとお互いの性質を打ち消し合う反応が起こる。この反応を何というか。
- 中和では、何イオンと何イオンが打ち消し合うか。
- 2の結果、何ができるか。
- 酸の陰イオンと、アルカリの陽イオンが結び付いてできる物質を何というか。
- 塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると、何という塩ができるか。
- 硫酸に水酸化バリウム水溶液を混ぜると、何という塩ができるか。
- 6でできる塩は何色か。
解答
- 中和
- 水素イオン、水酸化物イオン
- 水
- 塩
- 塩化ナトリウム
- 硫酸バリウム
- 白
【練習問題】塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和の計算
右図のように、うすい塩酸50cm³にBTB溶液を入れ、水酸化ナトリウム水溶液を混ぜる実験を行った。下の表は、加えた水酸化ナトリウム水溶液の体積とBTB溶液の色の変化を表したものである。これについて、以下の各問に答えよ。
水酸化ナトリウム水溶液[cm³] | 10 | 20 | 30 | 40 |
BTB溶液の色 | 黄 | 黄 | 緑 | 青 |
(1)うすい塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜたときに起こる反応を何というか。
(2)うすい塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜたときに起こる反応を化学反応式で書け。
(3)この実験で中和が起こっているのは、次のア~エのうちどれか。あてはまるものをすべて選べ。
ア 水酸化ナトリウム水溶液を10cm³加えたとき。
イ 水酸化ナトリウム水溶液を10cm³加えたあと、さらに10cm³加えたとき。
ウ 水酸化ナトリウム水溶液を20cm³加えたあと、さらに10cm³加えたとき。
エ 水酸化ナトリウム水溶液を30cm³加えたあと、さらに10cm³加えたとき。
(4)この実験で使ったうすい塩酸と同じ濃度のうすい塩酸100cm³を、完全に打ち消し中性にするには、この実験で使った同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液を何cm³加える必要があるか。
【解答・解説】塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和の計算
(1)中和
酸とアルカリの水溶液を混ぜると、お互いの性質を打ち消し合う中和という反応が起こります。
(2)HCl+NaOH→NaCl+H₂O
塩酸のH⁺と水酸化ナトリウムのOH⁻が反応してH₂Oが生じます。また塩酸のCl⁻と水酸化ナトリウムのNa⁺が反応しNaClが生じます。
(3)ア、イ、ウ
中性になるまでは、塩酸中のH⁺と加えた水酸化ナトリウムのOH⁻が打ち消し合います。中性になると、、塩酸中にH⁺がない状態になるので、OH⁻はそのまま混合液中に残ります。
(4)60cm³
うすい塩酸50cm³と完全に打ち消し合う水酸化ナトリウム水溶液の体積は、実験から30cm³であるとわかります。うすい塩酸の量が2倍の100cm³になったので、これを完全に打ち消すための必要な水酸化ナトリウム水溶液も2倍必要になります。
【練習問題】中和の計算
下の図1のように、ビーカー内のうすい硫酸20cm³に、こまごめピペットを使ってうすい水酸化バリウム水溶液を入れる実験を行った。図2は、加えたうすい水酸化バリウム水溶液の体積と、うすい硫酸とうすい水酸化バリウム水溶液の中和でできた白い物質の質量の変化を表したグラフである。これについて、次の各問いに答えよ。
(1)うすい硫酸と、うすい水酸化バリウム水溶液を混ぜると、白い沈殿が生じる。この沈殿は何という物質か。物質の名称を答えよ。
(2)うすい硫酸と、うすい水酸化バリウム水溶液の中和を表す化学反応式を書け。
(3)実験に使ったうすい硫酸20cm³と、うすい水酸化バリウム水溶液50cm³を混ぜたとき、生じる白い物質の質量は何gか。
(4)実験で、うすい塩酸20cm³と、水酸化バリウム水溶液40cm³を混ぜると、水溶液に電流が流れなくなった。この理由を簡潔に答えよ。
(5)実験に使ったうすい硫酸40cm³を完全に中和するには、水酸化バリウム水溶液は何cm³必要か。
【解答・解説】中和の計算
(1)硫酸バリウム
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和でできる塩は、硫酸バリウムになります。硫酸バリウムは水に溶けにくい塩なので、白い沈殿になってビーカーのそこの方にたまります。
硫酸バリウムは水に溶けにくい塩なので、白い沈殿になる!
(2)H₂SO₄+Ba(OH)₂→BaSO₄+2H₂O
硫酸の化学式H₂SO₄は、水酸化バリウムBa(OH)₂の化学式は、塩の硫酸バリウムBaSO₄の化学式になります。中和では、酸のH⁺とアルカリのOH⁻が反応し、水H₂Oができます。
(3)1.2g
グラフより、うすい硫酸20cm³と水酸化バリウム水溶液40cm³が過不足なく反応することがわかります。うすい硫酸は20cm³しかないので、水酸化バリウム水溶液を50cm³混ぜても、できる硫酸バリウムは1.2gで変わりません。
(4)水溶液中にイオンが無くなったから。
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和でできる塩、硫酸バリウムは水に溶けにくい塩で沈殿します。水に溶けないのでイオンとして水溶液中に存在しないので、完全に中和しているときにイオンがまったくない状態になります。したがって、電流は流れません。
水溶液中にNa⁺とCl⁻が存在するから。
・硫酸と水酸化バリウムの完全中和→電流は流れない!
水溶液中にイオンが全くないから。Ba²⁺とSO₄²⁻が結び付いてBaSO₄として沈殿する。
(5)80cm³
グラフから、うすい硫酸20cm³と、水酸化バリウム水溶液40cm³が過不足なく反応していることがわかります。うすい硫酸の量が2倍の40cm³になったので、必要な水酸化バリウム水溶液も2倍の80cm³必要になります。
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