位置エネルギーと運動エネルギーの和である力学的エネルギーについて演習を行います。まずは、確認問題で基礎知識を確認しましょう。
力学的エネルギーの保存の確認問題
- エネルギーとは、他の物体に何をする能力のことか。
- 位置エネルギーは、物体の何と何に比例して大きくなるか。
- 運動エネルギーは、物体の質量に比例し、何の2乗に比例するか。
- 物体の質量を3倍、速さを2倍にすると運動エネルギーは何倍になるか。
- 位置エネルギーと運動エネルギーの和を何というか。
- 空気の抵抗や摩擦がない場合、5はどうなるか。
- 6のことを何というか。
- 10mの高さにある物体が、斜面を下って6mの高さA点を通過し、最下点の0m地点を通過した。最下点を通過するときの運動エネルギーはA点を通過するときの運動エネルギーの何倍か。
解答
- 仕事
- 高さと質量
- 速さ
- 3×2²=12倍
- 力学的エネルギー
- 一定になる。
- 力学的エネルギーの保存(力学的エネルギー保存の法則)
- 2.5倍
【練習問題❶】位置エネルギーと木片の移動距離
下の図のような装置で、質量が10g、20g、30gの3つの小球を、高さを変えて転がして木片に衝突させ、小球と木片が一体となって動く距離をはかった。その結果がグラフのようになった。次の各問いに答えよ。
- 10gの小球の結果は、グラフのA~Cのうちのどれか。記号で答えよ。
- 10gの小球を6cmの高さから転がしたときの木片の移動距離を、30gの小球で動かすためには何cmの高さから転がせばよいか。
- 小球の持つエネルギーの大きさは、小球の高さおよび質量と、それぞれどのような関係があるか。
- 50gの小球を8cmの高さから転がすと、木片の移動距離は何cmになるか。
【解答・解説❶】位置エネルギーと木片の移動距離
- C
小球の持つ位置エネルギーは質量に比例して大きくなるので、小球の質量が大きければ大きいほど、木片の移動距離も大きくなる。したがって、Cが10g、Bが20g、Aが30gだとわかる。 - 2cm
グラフを見れば、10g(C)を6cmの高さから転がすと、木片の移動距離は15cmだとわかる。30g(A)の小球を転がして、木片を15cm動かすためには、小球を2cmの高さから転がせばよいとわかる。 - 高さ:比例する 質量:比例する
位置エネルギーは高さと質量に比例します。 - 100cm
10g(C)の小球を4cmの高さから転がすと、木片は10cm移動しているので、50gの小球を8cmの高さから転がすと、質量が5倍、高さが2倍で、10g(C)の小球を4cmの高さから転がした場合の10倍の移動距離になります。
10cm×5×2=100
【練習問題❷】力学的エネルギーの保存
図1は、ふりこの運動のようすを記録したもので、図2はこのときのおもりの持つ位置エネルギーの変化のようすをグラフに表したものである。これについて、次の各問いに答えなさい。ただし、ふりこはAから振り下ろしたものとし、空気の抵抗や摩擦は考えないものとする。
(1)図1のA~Eの中で、おもりの速さが最大になるのはどれか。すべて選び記号で答えなさい。
(2)図1のA~Eの中で、おもりの速さが最小になるのはどれか。すべて選び記号で答えなさい。
(3)図1のA~Eの中で、おもりの持つ運動エネルギーが2番目に大きいのはどれか。すべて選び、記号で答えなさい。
(4)おもりが図1のE点に達したとき、ふりこの糸を切ると、おもりはその後どのように運動するか。次のア~エから選び、記号で答えよ。
ア 右斜め上に飛び出す。
イ 真横に飛び出す。
ウ 自由落下運動をする。
エ その場で静止する。
(5)図2のグラフは、おもりがA~Eまで運動したときの位置エネルギーの変化を表したものである。おもりがA~Eまで運動したときの運動エネルギーの変化のようすを、図2のグラフに表せ。
(6)位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーという。ふりこがA~Eまで運動するときの、力学的エネルギーの変化をグラフに表すとどうなるか。図2のグラフに表せ。
(7)空気の抵抗や摩擦がない場合、力学的エネルギーは一定に保たれる。このことを何というか。
(8)図1のAの基準面からの高さを30cm、Bの基準面からの高さを10cm、Cの基準面からの高さを0cmとすると、Cでの運動エネルギーはBでの運動エネルギーの何倍になるか。
【解答・解説❷】力学的エネルギーの保存
(1)C
おもりの速さが最大になるのは、おもりの位置エネルギーが全て運動エネルギーに移り変わる最下点になります。
(2)A、E
おもりの速さが最小になるのは、おもりの位置エネルギーが最大になり、運動エネルギーが最小になる点です。おもりの高さが一番高いところがこれにあたります。
(3)B、D
運動エネルギーは、おもりの速さが速いほど大きくなります。おもりがもっとも速いのは、最下点のCを通過するときで、次に速いのは、BとDを通過するときです。
(4)ウ
おもりが最高点に達したとき、おもりの速さが0になります。ここで、ひもを切ると、おもりは真下に自由落下運動をします。
(5)運動エネルギーのグラフは、位置エネルギーのグラフの正反対のかたちになります。
(6)空気の抵抗や摩擦がない場合、位置エネルギーと運動エネルギーの和である力学的エネルギーは一定に保たれます。
(7)力学的エネルギーの保存(力学的エネルギー保存の法則)
空気の抵抗や摩擦がない場合、位置エネルギーと運動エネルギーの和である力学的エネルギーは一定に保たれることを力学的エネルギーの保存といいます。
(8)1.5倍
Aでの位置エネルギーを30とすると、運動エネルギーは0、その和である力学的エネルギーは30になります。Bでの位置エネルギーは10、力学的エネルギーは保存されるので30、したがって運動エネルギーは、30-10=20。Cでの位置エネルギーは0、力学的エネルギーは保存されて30なので、運動エネルギーは、30-0=30となります。Cでの運動エネルギーはBでの運動エネルギーの、30÷20=1.5倍になるとわかります。
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