中学公民で学ぶ「選挙制度」は、民主主義の基本となる大切なテーマです。日本ではどのような選挙が行われていて、それぞれにどんなルールや仕組みがあるのか、また現在の選挙制度が抱える課題にはどんなものがあるのか。
この記事では、選挙の種類(衆議院・参議院など)や投票のルール、そして若者の投票率の低さや一票の格差といった現代の課題について、テストに出るポイントをわかりやすくまとめています。ニュースや時事問題にもつながる内容なので、しっかり理解しておきましょう!
日本の選挙制度
- 衆議院…小選挙区比例代表並立制
- 参議院…選挙区制と比例代表制
比例代表は、政党の得票数に応じて議席を配分します。
小・中・大選挙区制・比例代表制
制度 | 小選挙区 | 中選挙区 | 大選挙区 | 比例代表 |
内容 | 選挙区で1人を選ぶ | 現在は存在しません。 | 2人以上選ぶ | 得票に応じて各政党議席を配分 |
メリット | 民意を反映しやすい | – | 死票が少なく、より多様な利益・意見が反映できる | 死票が少なく、より多様な利益・意見が反映できる |
デメリット | 死票が多くなり、
多様な利益・意見を反映しにくくなる |
– | 小党分立をおこし、政局が安定しにくい | 小党分立をおこし、政局が安定しにくい |
大選挙区制と比例代表制はのメリットとデメリットは同じですね。現在、日本は、衆議院は小選挙区比例代表並立制をとっています。また、比例代表制において、日本ではドント式という方法で各政党の当選者数を決めています。当選者数が決まったあとの各党の当選者の決め方については、拘束名簿式、非拘束名簿式などがあります。
- 基本原則…一定の年齢以上の全ての国民が選挙権を得る普通選挙のほか、平等選挙、直接選挙(代表を直接選出)、秘密選挙(投票した政党や候補者を他人に知られない)の4原則の下で行われる。
- 制度と課題…小選挙区制、比例代表制など。日本の衆議院は、小選挙区比例代表並立制を採用。法の下の平等に反するとして、一票の格差が問題。
選挙の課題
棄権の増加、一票の格差など。一票の格差については、議員一人あたりの有権者数の差が違憲状態であると最高裁判所での判決がでており、選挙制度改革が現在議論されています。
- 政治参加…選挙の投票、選挙の手伝い、住民運動など
- 世論…ある重要な問題に対して、多くの人々によって共有される意見のこと。新聞やテレビなどマスメディアは世論を作る力を持っている。
選挙の原則
選挙は、民主主義で最も重要な政治参加です。民主主義は、みんなで話し合い、決定することです。民主主義の成立には、国民主権、自由権、平等権が必要。
わが国の選挙は、公正に代表者を選ぶため選挙は国民が政治に参加する大切な機会であり、選挙の基本原則の普通選挙・平等選挙・直接選挙・秘密選挙の4原則のもとで行われます。
- 選挙権…国民が代表を選ぶ権利のこと
- 被選挙権…選挙おいて、当選人となれる資格のこと
1.普通選挙
財産や性別に関係なく、選挙権が与えられます。現在の選挙権は18歳となっています。1925年以前は、一定額以上の納税をする男子にだけにしか選挙権が認められていませんでした。しかし、選挙権が財産や性別などで制限されている選挙では、国民の意思を政治に生かすことはできません。ですから、財産や性別の制限がない普通選挙が大切です。
2.平等選挙
一人一票を平等にあつかいます。日本国憲法では、選挙人の資格を人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産、収入によって差別してはならないと定めています。
3.直接選挙
選挙権を持っている人が、議員を直接選出します。
4.秘密選挙
投票の秘密を守るために、無記名投票で行われます。現代の民主政治のもとで行われる選挙では、秘密選挙は当たり前のことですが、明治時代の第1回衆議院議員総選挙では、警察官や立会人の監視のもとで、住所・氏名を書いて印鑑を押して一票を投じるというものでした。
選挙権の変遷
現在のような男女平等の普通選挙の原則ができたのは、戦後のことであり、1925年に普通選挙法が成立するまでは、納税額によって選挙権が制限される制限選挙であった。また、女性の参政権は認められていなかった。
選挙権に関する年表
- 1890年 第1回総選挙 直接国税5円以上納めた25歳以上の男子のみ
- 1925年 普通選挙法成立 25歳以上の男子全員に選挙権が与えられた。
- 1928年 第16回総選挙婦人参政権の確立
- 1945年 20歳以上の男女による普通選挙の実現 20歳以上の男女全員に選挙権が与えられた。
- 1946年 第22回総選挙
- 2005年 第44回総選挙
➋治安維持法は、1925年に普通選挙法と同時に制定された、共産主義の思想や運動を取り締まるための法律
選挙権と被選挙権
選挙権は、満18歳以上の日本国民が有する。被選挙権は、衆議院・地方議会議員、市(区)町村長が満25歳以上、参議院議員と都道府県知事が満30歳以上である。
- かつての日本の選挙制度は、納税額によって選挙権が制限された制限選挙であった。また、女性の参政権が認められていなかった。
- 1890年の第1回総選挙では、直接国税15円以上納めた。25歳以上の男子のみの制限選挙で、有権者は全人口の約1.1%であった。
- 1925年に普通選挙法が成立し、25歳以上の男子全員に選挙権が与えられた。
- 20歳以上の男女全員に選挙権が与えられたのは1945年である。
以上が、中学公民の「選挙の原則」となります。入試でも頻出度の高い分野の1つです。特に課題についての記述問題も、最近よく出題されているので、しっかり理解しおきましょう。
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