高校入試に出る中学歴史の「文化」についてのまとめています。旧石器文化から、現代までの文化について学習します。
中学歴史「文化」のポイント
文化に関する問題を苦手にする生徒が非常に多いようです。各時代の文化のイメージと、重要な人物や作品名を効率よく覚えることで、文化に関する問題は簡単に解けるようになります。むしろ得点源にもなり得ます。
❶各文化のイメージをとらえる!
❷代表的な人物や作品を覚える!
たったこれだけで、文化は解けるようになります。覚えやすいように語呂なども準備しています。
まずは時代と文化名を一致させる
どの時代に何文化が栄えたのかは重要です。これがわからないと何も解けません。分化のイメージとともに覚えましょう。
時代 | 文化 | 特徴・イメージ |
旧石器時代 | 旧石器文化 | 打製石器を使って狩猟・採集生活 |
縄文時代 | 縄文文化 | 縄文土器や磨製石器を使って狩猟・採集生活 |
弥生時代 | 弥生文化 | 水稲農耕が始まり貧富の差が生まれた |
古墳時代 | 古墳文化 | 古墳が盛んに造られ、渡来人の影響が強い |
飛鳥時代 | 飛鳥文化 | 日本初の仏教文化。 |
奈良時代 | 天平文化 | 唐の影響を受けた国際色豊かな文化 |
平安時代 | 国風文化 | 日本の風土や生活に合った貴族文化 |
鎌倉時代 | 鎌倉文化 | 素朴で力強い武家文化 |
室町時代 | 北山文化 | 公家と武家の文化が融合し、簡素で深みがある |
東山文化 | ||
安土・桃山時代 | 桃山文化 | 新興大名や大商人による豪華で雄大な文化 |
江戸時代 | 元禄文化 | 上方(京都・大阪)を中心に栄えた町人文化 |
化政文化 | 江戸を中心に栄えた町人文化 | |
明治時代 | 明治文化 | 欧米文化の影響と近代文学の発展 |
大正時代 | 大正文化 | 大正ロマン。新聞やラジオなどによる大衆文化 |
次は各文化ごとの特徴をとらえましょう。
各文化ごとの特徴
例えば、「貴族」とくれば「国風文化」、「武士」とくれば「鎌倉文化」、「豪華」とくれば「桃山文化」などのように特徴をとらえてください。その文化が生まれた背景も簡単に説明します。
旧石器文化のポイント
旧石器時代に栄えた文化が旧石器文化です。先土器文化とも呼ばれます。打製石器を使い、ナウマン象やオオツノジカなどの大型の動物を狩猟し、漁猟・採取なども行い生活をしていた時代です。キーワードは次の内容です。
- 打製石器…石を打ち欠いただけの石器。
- 岩宿遺跡…関東ローム層から打製石器発見。
- 野尻湖…長野県の遺跡でナウマンゾウの化石が出土。
縄文文化のポイント
縄文時代になると、氷河期が終わり大陸と陸続きだった日本が島国となります。小型の動物が出現し、弓矢が使われるようになります。石器も表面を磨いた磨製石器を使用するようになり、保存や煮炊き用の縄文土器が使われ始めます。キーワードは次の内容です。
- 縄文土器…縄目の文様が付いたものが多く、厚手でもろいのが特徴。
- 磨製石器…表面を磨いた鋭い石器。他に骨角器も使用。
- 貝塚…当時の人々が食べた貝や魚の骨などが捨てられた場所。
- 土偶…魔よけ、豊かな獲物の収穫などを祈ってつくられた土製の人形。
- 竪穴住居…地面に屋根をふいただけの住居。
- 三内丸山遺跡…1994年に青森で発見された縄文時代中期の大規模な集落のあと。
弥生文化のポイント
大陸から水稲耕作が伝わり、稲作が始まった時代が弥生時代です。弥生時代には稲作に影響を受けた弥生文化が栄えます。石包丁で稲を収穫し、高床倉庫に貯えます。収穫量に差が生じ貧富の格差がうまれ、支配者階級と被支配者階級の身分の違いが生じた時代でもあります。青銅器や鉄器などの金属器が日本に伝わったこともこの時代の大きな特徴です。
- 石包丁…稲の穂首刈りに使用した。
- 高床倉庫…稲の保存用の倉庫。ねずみの害や湿気を防ぐために床を高くした。
- 青銅器…銅剣・銅矛・銅鐸・銅鏡など祭事用として使われた。
- 鉄器…農具作成の工具や武器として使用された。
- 弥生土器…縄文土器よりも高温で焼かれたため、うすくて硬い。
- 吉野ヶ里遺跡…佐賀県の大規模な環濠集落。
- 登呂遺跡…静岡県の水稲耕作を行っていた遺跡。
古墳文化のポイント
弥生時代の終わりに邪馬台国が誕生し、これ以降、各地に大規模な古墳がつくられた時代を古墳時代といいます。大和政権時代に古墳の最盛期を迎えます。築造に膨大な費用と人出を要したことから、当時の大王の強い権力や、すぐれた土木技術をうかがうことができます。渡来人により、大陸の進んだ技術が伝えられたことも特徴にあげられます。
- 前方後円墳…大仙古墳のような、方形の前部と円形の後部からなる古墳の形。
- はにわ…古墳のまわりや頂上に並べられた素焼きの土製品。
- 渡来人…中国や朝鮮から進んだ技術や学問を伝えた人々。
- 漢字・儒教…5世紀の初めに朝鮮の西部にある百済から伝えられた。
- 仏教…6世紀の前半に百済から伝えられた。
- 須恵器…渡来人によって伝えられた、硬くて薄い土器。
飛鳥文化のポイント
都が飛鳥(奈良県)に置かれたことから飛鳥時代と呼ばれています。飛鳥時代には仏教を中心とした飛鳥文化が栄えました。推古天皇の摂政として聖徳太子が活躍した時代です。この時代には、古墳に変わって多くの寺院がつくられるようになりました。現存する世界最古の木造建築物である法隆寺が有名です。
- 法隆寺…現存する世界最古の木造建築物。聖徳太子が建立。
- 十七条の憲法…役人の心得。仏教の影響が濃く見られる。
- 遣隋使…小野妹子が派遣され、中国と対等の関係を結ぼうとした。
天平文化のポイント
710年に、平城京が完成し都が奈良県奈良市に移されてからを奈良時代といいます。奈良時代には中国の王朝である唐の影響を強く受けた天平文化が栄えます。聖武天皇が仏教の力を借りて国を治めようとした時代です。唐は世界と交流があったので、国際色豊かな文化になります。
- 遣唐使…唐の進んだ文化や制度を学ぶために、阿倍仲麻呂などが派遣された。
- 鑑真…唐の僧。何度も遭難し、失明しながらも日本に渡航。唐招提寺の建立。
- 東大寺…聖武天皇によって都につくられた仏教寺院。
- 国分寺・国分尼寺…聖武天皇が国ごとに建立させた仏教寺院。
- 正倉院…聖武天皇の愛用品などがおさめられている東大寺の建物。
- 古事記・日本書紀…天皇の歴史をまとめた書物。
- 万葉集…さまざまな身分の人々の歌を集めてつくられた和歌集。
- 風土記…国ごとの土地の名前の由来や産物、伝承などをまとめたもの。
国風文化のポイント
中国を統一した唐ですが、9世紀になると陰りが見え始めます。894年に菅原道真によって遣唐使が廃止され、この後は、唐の文化を吸収し、日本の風土や生活に根付いた文化が栄えます。この文化を国風文化といいます。文化の担い手は貴族でかな文字で書かれた多くの物語や随筆が誕生しました。また、この時代に浄土信仰が貴族の間に広まりを見せます。
- 平等院鳳凰堂…藤原頼道が宇治に極楽浄土を再現しようとして建てた阿弥陀堂。
- 寝殿造…国風文化のころに貴族の邸宅としてつくられるようになった。
- 源氏物語…紫式部によって書かれた物語。
- 枕草子…清少納言によって書かれた随筆。
- 古今和歌集…紀貫之が編集した和歌集。
- 大和絵…日本の自然や風俗を描いた絵画。
- 絵巻物…絵と文をおり交ぜて、物語のあらすじを展開した巻物。
鎌倉文化のポイント
平安時代の末期になると、上皇による院政が始まり、武士で初めて政権を取った平清盛が登場し、武士の時代がスタートします。その後、源頼朝によって鎌倉幕府が開かれます。この時代に栄えた文化が鎌倉文化です。武士の気質を反映した素朴で力強いことが特徴にあげられます。また、荒れた時代でしたので吉田兼好や鴨長明による随筆も登場します。庶民に間には新しい仏教が広まりました。
- 平家物語…琵琶法師によって語り伝えられた平家一門の盛衰をえがいた物語。
- 新古今和歌集…後鳥羽上皇の命により、藤原定家らが編集した和歌集。
- 方丈記…鴨長明によって書かれた随筆。
- 徒然草…吉田兼好(兼好法師)によって書かれた随筆。
- 金剛力士像…東大寺南大門にある運慶・快慶作の彫刻。
- 浄土宗…法然によって開かれた念仏宗。
- 浄土真宗(一向宗)…親鸞によって開かれた念仏宗。
- 時宗…一遍によって開かれた念仏宗。踊念仏。
- 日蓮宗(法華宗)…日蓮によって開かれた宗派。題目。
- 臨済宗…栄西によって開かれた禅宗。
- 曹洞宗…道元によって開かれた禅宗。
北山文化のポイント
足利尊氏によって室町幕府が開かれます。3代将軍が足利義満で、勘合貿易(日明貿易)によって大きな権力を得ます。義満の時代に栄えた文化を北山文化と呼びます。代表的な建築物は鹿苑寺金閣です。伝統的な公家文化と、新興の武家文化が融合し、深みのある文化になっています。
- 鹿苑寺金閣…足利義満が京都の北山につくらせた寺院。
- 太平記…南北朝時代を描いた軍記物。
- 能…田楽、猿楽から、観阿弥・世阿弥親子により大成された。
東山文化のポイント
室町幕府8代将軍の足利義政の時代に栄えた文化が東山文化です。武家と公家、禅宗の文化が融合して生まれました。義政が東山に立てた慈照寺銀閣が有名です。1467年に応仁の乱が起こりますが、能、茶道、華道、庭園、建築、連歌など多様な芸術が発展した時代でもあります。
- 慈照寺銀閣…足利義政が京都の東山に立てた仏教寺院。
- 書院造…室町時代に生まれた、床の間をもつ住居の様式
- 水墨画…中国の絵の技術を学んだ雪舟が、帰国後、日本の独自の水墨画を完成させる。
- 大和絵…狩野派や土佐光信などによって発展。
- 狂言…能の合間に演じられた演劇。民衆の生活が題材。
- 御伽草子…民衆の間に広まった、絵入りの物語。
- 連歌…数人で和歌の上の句と下の句を交互に読み、連ねていく文芸。
桃山文化のポイント
室町時代の1467年に応仁の乱がおこり、日本は戦国時代に突入します。下のものが上のものを打ち破る下剋上の風潮が社会に広まった時代です。新興の守護大名や戦国大名、大商人の気風を反映した、雄大で豪華な文化が桃山文化です。
- 安土城・大阪城・姫路城…天守閣を持つ壮大な城。
- 狩野永徳…『唐獅子図屏風』などで有名。絵画。
- 出雲の阿国…京の町でかぶき踊りを始めた人物
- 南蛮文化…パン、カステラなどといったヨーロッパの文化が入ってきて発展した文化。
- 千利休…わび茶の作法を完成したさせた人物。
元禄文化のポイント
元禄文化は、江戸幕府5代将軍の徳川綱吉の時代、上方を中心に町人の間で栄えた文化です。上方とは京都・大阪のことを指しており、経済力をつけた町人による新しい文化になります。文学作品や人物名が多く登場しますが、語呂合わせでサクッと覚えましょう。下の記事を参考にしてください。
- 人形浄瑠璃…代表的な脚本家は近松門左衛門。
- 浮世草子…井原西鶴『日本永代蔵』は町人の生活をえがいた。
- 浮世絵…菱川師宣の『見返り美人図』
- 装飾画…俵屋宗達が始め、尾形光琳が大成。
- 俳諧…松尾芭蕉の『奥の細道』
化政文化のポイント
化政文化は、幕府が奨励した朱子学のほか、国学・蘭学が発達します。化政文化は、19世紀の初めの江戸の庶民が担い手となった大衆文化になります。
- 国学…本居宣長の「古事記伝」などにみられる、日本の古典を研究する学問。
- 蘭学…オランダ語を通じてヨーロッパの技術を研究する学問。
- 浮世絵…喜多川歌麿「ビードロ(ぽっぴん)を吹く娘」。
- 浮世絵…葛飾北斎「富嶽三十六景」。
- 浮世絵…歌川広重(安藤広重)「東海道五拾三次」
- 東海道中膝栗毛…十返舎一九。
- 俳諧…与謝蕪村、小林一茶。
- 南総里見八犬伝…滝沢馬琴。
明治文化のポイント
明治時代になると、欧米の文化が一気に日本に押し寄せ、文明開化を迎えます。都会では、洋風建築・ガス灯・洋服・洋食などが普及し、人力車や鉄道馬車が走るようになります。太陽暦を採用し、活字印刷の技術も向上し、新聞や雑誌も発行されるようになります。学問も普及し、慶應義塾や早稲田大学なども開校しました。
- 福沢諭吉…『学問のすすめ』。慶應義塾大学創設。
- 中江兆民…ルソーの『社会契約論』を翻訳。
- 学校令…大学・中学・小学の学校制度。義務教育を4年とする。後に6年。
- 大隈重信…早稲田大学(東京専門学校)創設。
- 樋口一葉…「たけくらべ」などの小説を書いた女性文学者。
- 森鴎外…「舞姫」などの小説を書いた文学者。
- 夏目漱石…「吾輩は猫である」「坊ちゃん」などの小説を書いた小説家。
- 北里柴三郎…破傷風の血清療法発見。
- 野口英世…黄熱病の研究。
- フェノロサ…日本画の復興 アメリカ人で岡倉天心と協力。
- 黒田清輝…読書、湖畔。
- 滝廉太郎…荒城の月、花、箱根八里。
大正文化のポイント
大正時代は、護憲運動や民本主義による民主主義を求める動きである、大正デモクラシーの時代です。社会運動が高まりを見せ労働争議や小作争議などが各地で展開されます。新聞や雑誌、ラジオ放送も始まり大衆の娯楽として広まりを見せます。
- 芥川龍之介…「羅生門」
- 谷崎潤一郎…「刺青」
- 志賀直哉…白樺派。「暗夜行路」
- 武者小路実篤…白樺派。「人間万歳」
- 小林多喜二…プロレタリア文学。「蟹工船」
- 江戸川乱歩…探偵小説。
コメント
文化史のまとめプリント、苦手だったので、とても役立ちました。ありがとうございました。
文化がとてもわからなくて悩んでいたところです。勉強に活かしたいと思います。ありがとうございました。