中学公民の「景気変動の調整と財政対策」です。景気って何だろう?ニュースで「景気が良い」「景気が悪い」とよく聞くけれど、実際にはどういうことなのかピンと来ない人も多いのではないでしょうか。景気とは、私たちの生活や経済活動の動きを表す言葉です。そして、景気が良いときと悪いときでは、働き方やお金の使い方、さらには物の値段まで変わってきます。
この景気の変動に対応するために、国が行うのが「財政対策」です。たとえば、景気が悪いときには道路や学校を作る工事を増やして働く場を作るなど、みんなが元気になれるような工夫をしています。この記事では、中学生にもわかるように、景気変動の仕組みと、それに対する国の対策について詳しく解説します!日々のニュースをもっと身近に感じられるはずです。
景気変動
項目 | 好景気(景気が良いとき) | 不景気(景気が悪いとき) |
---|---|---|
特徴 | お金がよく回る、物の売れ行きが良い | お金が回らない、物があまり売れない |
会社の活動 | 売上が増える、利益が出る、新しい商品を作る | 売上が減る、赤字になる、事業を縮小する |
雇用 | 働く人が増える、給料が上がる | 働く人が減る(失業者が増える)、給料が下がる |
物価 | 商品やサービスの値段が上がる(インフレーション) | 商品やサービスの値段が下がる(デフレーション) |
政府の動き | 税収が増え、公共事業を活発化させる | 税収が減り、景気対策を行う |
例 | オリンピック開催や新技術の登場で経済が活発になる | 世界的な不況や災害で経 |
景気変動(景気の循環)とは、好景気(好況)と不景気(不況)とが交互に繰り返されることです。資本主義経済は、景気変動を繰り返しながら発展してきました。
恐慌の始まりと各国の対策
世界最初の恐慌は、イギリスではじまり、19世紀の同国でほぼ10年の周期で恐慌が発生していました。景気変動は、資本主義経済では、さけられないとされる現象ですが、今日では、世界の多くの国が景気対策(景気調整政策)に乗り出し、急激な不景気(恐慌)などはおこらないように努力しています。
好景気(好況)と不景気(不況)
状況 | 好景気(好況) | 不景気(不況) |
状態 | 経済活動が活発なるが、物価が上昇するインフレーション(インフレ)が進み、人々の生活を圧迫することもある。 | 企業の生産活動をふるわず、物価が下落するデフレーション(デフレ)が起こることもある。 |
対策 | 増税や公共事業を削減し景気を抑える。 | 減税や公共投資(公共事業への投資)を増やし、生産や消費の活動を活発にしようとする。 |
- 景気変動(景気の循環)…不景気(不況)と好景気(好況)が交互に繰り返される。
- 財政政策…政府が景気の状態に応じて財政支出の増加などの景気の波を調整する。景気の安定化を図る。
好景気(好況)の循環
①需要増→②モノやサービスが売れる→③企業の利益増→④企業の生産増→⑤雇用増→⑥家計の所得増→①に戻る
不景気(不況)の循環
①需要減→②モノやサービスが売れない→③企業の利益減→④企業の生産減→⑤雇用減→⑥家計の所得減→①に戻る
物価のインフレとデフレ
- 物価のデフレーションとは、単に多くの商品の物価が、全体的に下がっていくことです。
- 物価のインフレーションとは、単に多くの商品の物価が、全体的に上がっていくことです。
日本の景気
デフレと不景気は違います。 日本では、バブル崩壊後の不景気の時期が、デフレの時期とも重なったので、「デフレ不況」と言われましたが、けっして不況になると必ずデフレになるというわけでは、ありません。
スタグフレーション
景気がよくなくても物価がずっと上昇する傾向をいいます。スタグネーション(景気の停滞)とインフレーションを組み合わせてつくられた用語です。
財政政策
主に国の財政の歳入や歳出を通じて総需要を管理し、経済に影響を及ぼす政策のこと。政府(国・地方公共団体)が収入(歳入)を得て、それを支出(歳出)する経済活動をしていくわけです。財政政策は、日本銀行の金融政策と並ぶ景気調整の2本柱です。
- 歳入…政府の1年間の収入。税金(租税)が中心。
- 予算…政府の1年間の収入と支出の計画。
例えば不景気のときに公共投資を行ったり減税をしたりなど、景気対策を折り込んで予算編成することが財政政策となります。
財政政策の機能
財政政策の機能には、3つのことが挙げられます。
- 景気の調整…景気が過熱しているときは、財政支出や財政投融資を減らす。景気の後退時には、財政支出や財政投融資を増やす。
- 所得の再分配…累進課税によって高額所得者から吸収した財政収入を、社会保障関係費などの支出によって低所得者に分配しています。
- 資源配分の調整…私的な財と公共財(道路、学校、病院など)のバランスの整理をする役目があります。
日本の財政政策
一億総活躍社会の実現に向けて、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」から成る。
具体的には
- 名目GDP500兆円を戦後最大の600兆円に
- 成長戦略を含む従来の三本の矢を強化
- 結婚や出産等の希望が満たされることにより希望出生率1.8がかなう社会の実現へ
- 待機児童解消、幼児教育の無償化の拡大(多子世帯への重点的な支援)
- 介護離職者数をゼロに
- 多様な介護基盤の整備、介護休業等を取得しやすい職場環境整備
- 「生涯現役社会」の構築
などを挙げています。
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