【中学国語】文学的文章の読解のポイント・練習問題

文学的文章対策としては、何といっても数多くの小説を読むことが一番です。積極的に図書館などを利用しましょう。ここでは、基本レベルの読解問題に挑戦します。

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主題をとらえよう

主題とは、作者が作品を通して読者に訴えたいことで、文学的文章の場合、文章中にそのまま表現されていることはほとんどありません。登場人物の表現の意味、あら筋や場面・情景など具体的な内容をつかみ主題をとらえましょう。

文学的文章読解問題

次の文章を読み、以下の各問いに答えよ。

 *どじょうひげは、とてもそそっかしやで不作法で、おまけに長っ尻だったから、来るたびに母は、かげでいやな顔をした。少年も大嫌いだった。あるとき彼は、少年と同い年ぐらいの男の子を連れて来た。息子で、これも絵の修業をしている。その子の腕前を、どじょうひげは自慢しに来たのである。少年も座敷へ呼ばれてその子の*席画の見物をさせられた。なるほど器用であった。父親が題を出すにつれて、胡瓜(きゅうり)、なす、牡丹(ぼたん)、竹に雀(すずめ)、しまひには山水までが、展べられた唐紙(とうし)の上に、さらさらと描きわけられてゆく。父は舌をまいた。母もそばからあいづちを打った。少年はだんだん怒りが胸へこみあげて来た。その子の絵が下手だと思うのではない。ただ無性に気に食はないものが、一座の空気のなかにも、その子の筆の動きのなかにも、感じられたのである。とうとう少年は、
「なんだ、そんな絵。絵なんか、ぼくだって書けるや」と言い放つと、隣の間から自分の水彩画を二三枚もって来て、*毛氈(もうせん)のはしへ並べはじめた。台湾の小学校でこそ、十点とか九点とか評点がついて、壁に張り出されたりもするけれど、少年は自分が( A )絵の下手なことは、百も承知だつたのである。「ほほう」と、どじょうひげがいざり出て来て、一枚一枚手にとって眺めた。「なかなか上手だ。坊ちゃんも。」
少年は、嘘つけと思った。坊ちゃんも――の「も」の字もぐっと胸にこたえた。もうやけっぱちになって、
【「まだどっさりあるさ。みんな見せてあげようか」と言って、また隣の間へ駈けこもうとした。
突然はげしい声で、父親が少年を呼びとめた。少年は振り返ると、その眼の前で、画用紙の一枚が、ばりばりと引き裂かれた。
「すぐお調子に乗る。……軽薄なやつだ!」】
父のこめかみには、太い青筋が浮いていた。どじょうひげは、事の成行きに仰天したらしく、いそいでいざり戻る拍子に、母が大切にしていた九谷の茶碗を引っくり返した。それはあっけなく、真二つに割れた。彼は( B )*狼狽(ろうばい)して、*粗相(そそう)を平あやまりに母にわびながら、早々に息子をせき立てて帰って行った。
その時まで少年は、座敷の襖(ふすま)ぎわに意固地に座って見ていたそれから玄関わきの小部屋へ行って、声を張りあげてくやし泣きに泣いた
神西清「少年」より

(注)*どじょうひげ…「少年」の父に絵を教えるためにやとわれている人物。
*席画…人が集まった席で、絵を即興でかいて見せること。
*毛氈…獣毛でできた敷物。
*狼狽…あわてふためくこと。
*粗相…うっかりしたあやまち。

(1)文章中の( A )( B )にあてはまる言葉として、適切なものを、次の中からそれぞれ選び、記号で答えよ。
ア うすうす  イ もともと  ウ ますます  エ だんだん  オ とうとう

(2)次の文は、文章中の【 】の場面における「父」の気持ちを説明したものである。( ① )~( ③ )にあてはまる言葉として適切なものを、それぞれ後のア~カの中から選び、記号で答えよ。

口先だけでほめられて( ① )、その場にふさわしいふるまいもできない「少年」の( ② )行動に対して、激しく( ③ )いる。

ア 怒って  イ 不愉快になり  ウ たしなめて  エ うろたえて
オ 有頂天になり  カ かるはずみな

(3)下線部①「少年は……あげてきた」の理由として適切なものを、次の中から二つ選びなさい。
ア どじょうひげの息子がさほど上手でもないのにほめられているから。
イ どじょうひげ親子の得意そうなふるまいに父母が同調するから。
ウ どじょうひげ親子が自分を無視した態度をとっているから。
エ どじょうひげの息子の器用な描き方に違和感を持ったから。
オ どじょうひげの息子が嫌いなのに、席画を見せられたから。

(4)下線部②「意固地……見ていた」ときの少年の気持ちとして適切なものを、次の中から選びなさい。
ア どじょうひげの失敗を冷笑する気持ち
イ 画用紙を破った父をにくむ気持ち
ウ 気勢をそがれてぽかんとした気持ち
エ 精一杯の反抗を示す気持ち

(5)下線部③「それから……泣いた」に表れた少年の気持ちとして適切なものを、次から選びなさい。
ア 自分に絵の才能がないことを認めなければならなくなったつらさ。
イ どうじょうひげ親子に受けたひどい仕打ちに反発できなかったつらさ。
ウ 自分の行動の奥にあるやりきれなさを父に理解されなかった無念さ。
エ 絵に対する自分の情熱を理解してくれる人がいなかった無念さ。

文学的文章読解問題 解答・解説

(1)A:  B:
Aは、直後の「百も承知だった」から考えましょう。
Bは、まず、その前の「彼」が「どじょうひげ」であることをおさえることが重要です。仰天しているうえに、茶わんを壊し、狼狽しています。

(2)①  ②  ③
父の心理を問いています。すぐ後ろの「こめかみには、太い青筋が浮いていた」から、父が激しく怒っていることを読み取りましょう。②は「お調子に乗る」「軽薄な」などから、父の気持ちを読み取りましょう。

(3)イ、エ
少年にとって「無性に気に食わないもの」を、「一座の空気のなか」と「その子の筆の動きの中」の二つから読み取りましょう。

(4)
「父をにくむ」というより、自分の心を理解してくれないことに対して、すねて反抗しているのではないでしょうか。

(5)
「くやしくて、やりきれなくて」泣いている「少年」の姿を想像しましょう。

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