中3数学の「標本調査」についてまとめています。標本調査と全数調査との違い、母集団からの無作為抽出などについてもふれています。
対策問題もあるので、解いてみて間違った箇所は、解説を読んで理解しましょう!
標本調査とは?
対象となる集団の一部を取り出して調べることを標本調査といいます。標本調査は、集団のすべてについて調べると不都合な場合や実際的でない場合に行います。標本調査では、その結果に母集団とある程度の違いがあります。一方で、対象となる集団のすべてについて調べることを全数調査といいます。
無作為に抽出
母集団からかたよりなく標本を選ぶことを無作為に抽出するといいます。番号を無作為に抽出するには、乱数さい表計算ソフト、乱数表などを利用する方法があります。乱数さいは、正二十面体のさいころのことで、その20個の面に0から9までの数字がそれぞれ2つずつ書いてあります。
標本平均
標本平均は、母集団から無作為に抽出した標本から求めた平均値のことをいいます。一般的に、標本の大きさが大きいほど、標本の平均値は母集団の平均値に近い値をとることが多くなります。母集団の大きさが大きく、全数調査が大変なときでも、標本調査をおこなって、母集団の特徴や傾向などの性質を推測することができます。
【対策問題】標本調査の問題
【問1】袋の中に赤玉と白玉が混じって入っている。どのくらいの割合で混じっているかをしらべるため、よくかき混ぜてからカップ1杯分を取り出し、赤玉と白玉を数えたところ、下の表のようになりました。袋の中の赤玉と白玉の個数の比は、どれくらいの割合になっていると考えられるか答えよ。
回数 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
赤玉 | 18 | 16 | 17 | 15 | 18 |
白玉 | 504 | 511 | 498 | 502 | 496 |
【問2】袋の中に、赤と白のボタンがあわせて500個入っています。よくかき混ぜて20個のボタンを取り出したとき、赤のボタンは6個でした。この袋の中には、赤のボタンがおよそ何個あると考えられますか。
【問3】袋の中に大きさの白色の玉と赤色の玉が合わせて320個はいっており、この袋の中から48個の玉を無作為に抽出したところ、赤い色の球は18個ふくまれていた。袋の中に入っていた赤色の玉の個数はおよそ何個と推定できるか答えよ。
【問4】次の調査は、全数検査と標本調査のどちらが、適切ですか選びなさい。
(1)エスカレーターの定期検査
(2)LED電球の耐久時間の調査
(3)牛乳に含まれるたんぱく質の量の検査
(4)学校でおこなう学力調査
【問5】次の問いに答えなさい。
(1)袋の中に赤と白の玉が合わせて180個入っています。この袋の中から20個の玉を無作為に抽出したら、赤玉が6個入っていました。この袋の中に入っている赤玉の個数を求めなさい。
(2)ある池にいる魚の数を調べるために、この池から20匹の魚を捕獲して目印をつけて、池に返しました。10日後に同じようにして魚を50匹捕獲したところ、目印をつけた魚が4匹いました。この池にいる魚の総数を求めなさい。
(3)ある中学校で、自転車通学をしている生徒の人数を調べるために、全校生徒540人のうち、40人を無作為に抽出したら、自転車通学をしている生徒は12人でした。この中学校全体で自転車通学をしている生徒は何人か求めなさい。
(4)同じ大きさの金貨がたくさん入った袋がある。この袋の中から金貨を40個取り出し、全部に印をつけて袋にもどした。袋の中をよくかき混ぜた後、その中から60個の金貨を無作為に抽出したところ、印をつけた金貨が4個ふくまれていた。最初に袋の中に入っていた金貨は、およそ何個か求めなさい。
【問6】次の問いに答えなさい。
(1)次の調査の中で、標本調査がおこなわれるのはどれですか。ア~エから選びなさい・
ア テレビの視聴率調査
イ 国勢調査
ウ 牛乳の細菌調査
エ 世論調査
(2)ある都市で、どのスポーツが人気が高いのかを調べるのに、標本調査をすることにしました。標本の選び方として適切なものをどれですか。
ア 回答をよびかけた氏のホームページを見た人から回答を集める。
イ 中学生から無作為に500人を選び、回答を集める。
ウ 市から500世帯を無作為に抽出してアンケート調査をおこなった。
(3)袋の中に、赤と白のボタンがあわせて500個入っています。よくかき混ぜて20個のボタンを取り出したとき、赤のボタンは6個でした。この袋の中には、赤のボタンがおよそ何個あると考えられますか。
【解答・解説】標本調査の問題
【問1】
5回のそれぞれの玉の個数の平均値を求めると、
- 赤玉=(18+16+17+15+18)÷5=16.8
- 白玉=(504+511+498+502+496)÷8=502.2
よって、17:502
【問2】
袋の中と抽出した標本で、赤のボタンと白のボタンの個数の比は、等しいと計算します。
袋の中にはいっている赤のボタンの数をx個とすると、
標本である20個のボタン:赤のボタン6個=すべてのボタン500:x (20:6=500:x)より
x=150
この袋の中には、赤のボタンがおよそ150個あると考えられます。
よって、(解答)およそ150個
標本は、母集団の性質をよく表すようなものでなければなりません。そのためには、標本の大きさをできるだけ大きくすることになりますが、現実には大きくできない場合も少なくありません。そこで、できるだけかたよりのない標本を取り出さなければなりません。
標本をかたよりなく取り出すことを、無作為に抽出するといいます。標本を無作為に抽出する方法として、くじ引き、乱数表、乱数さいなどを利用することがあります。
無作為とは、母集団から標本を抽出するときに。抽出する人の個人の主観が入り込まないというころで、どの標本も抽出される確率が等しいことをいいます。
【問3】
320:x=48:18
x=120
(解答)120個
【問4】
(1)全数検査
(2)標本調査
(3)標本調査
(4)全数検査
- 全数調査…対象となる集団全部のものについての調査を全数調査といいます。(例)国勢調査、出欠調査など
- 標本調査…集団の一部分を調査して全体を推定するような調査を標本調査といいます。(例)世論調査、製品調査など
調査の対象となる集団全体を母集団といいます。また、母集団の一部分として取り出してじっさいに調べたものを標本といいます。母集団から標本を取り出すことを抽出といいます。
【補足】推定の信頼度
この推定の信頼度を高めるためには、標本をかたよりなく抽出することに加えて、例えば、標本の大きさを大きくする、標本を抽出する回数を多くする、などのくふうが考えられます。推定の信頼度が高いとき、標本の比率や平均は、母集団の比率や平均にほぼ等しいと考えられます。
一定の大きさの標本を多数回繰り返し抽出し、それぞれの標本の比率や平均値や、平均値の平均を求めれば、これは母集団の比率や平均値にほぼ等しいです。
【問5】
(1)無作為に抽出された20個の玉の中にふくまれる赤玉の割合は、6個なので、
20:6=180:x
これを解くと、54個
<別解>
割合を使って
180×6/20=54でも可
(2)池にいる魚の総数をx匹とする。目印をつけた魚について、
x:20=50:4
x=250
(3)無作為に抽出された40人のうち12人が自転車通学だから、その割合は、12/40=3/10
よって、540×3/10=162
<別解>
40:12=540:xを解いても可
(4)袋の中に入っていた金貨をx個とすると、
60:4=x:40
これを解くとx=600
【問5の解答】
(1)54個
(2)250匹
(3)162人
(4)600個
【問6】
(1)ア ウ エ
(2)ウ
【解説】
ア 市のホームページを見た人だけなので、母集団からかたよりなく標本を抽出したとはいえない。×
イ 標本が中学生だけに偏っている。×
ウ 市の500世帯を無作為に抽出しているので、偏りなく標本を抽出していると考えられます。〇
(3)およそ150個
【解説】
袋の中と抽出した標本で、赤のボタンと白のボタンの個数の比は、等しいと計算します。
袋の中にはいっている赤のボタンの数をx個とすると、
標本である20個のボタン:赤のボタン6個=すべてのボタン500:x (20:6=500:x)より
x=150
この袋の中には、赤のボタンがおよそ150個あると考えられます。
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