【中学2年理科】熱分解のまとめ酸化銀・炭酸水素ナトリウム

シェアする

スポンサーリンク

中学2年理科。今日は化学変化の中の分解、その中の熱分解について学習します。酸化銀、炭酸水素ナトリウムの2つの熱分解を詳しく見ていきます。色の変化や生じた物質の調べ方、さらには化学反応式までしっかりと書けるように練習しましょう。

化学変化とは

熱分解を学習する前に、まずは化学変化とは何なのか学習します。

中学校では2つの変化を学習します。1つは状態変化です。中学1年生で学習しましたが。物質の状態(固体、液体、気体)だけが変化し、物質の性質は変化しませんでした記号で簡単に説明すると、次のようになります。

●状態変化 Aa

形は変わっていますが、「A」という性質は変わっていません。それに対して、中学2年生で学習する化学変化では、物質そのものが変わってしまう変化になります簡単に記号で説明すると、次のようになります。

●化学変化 AB

「A」とはまったく別の「B」に変わりますので、性質が変わってきます。まとめると化学変化は次のようになります。

化学変化とは化学変化とは、まったく新しい物質ができる変化のこと。
スポンサーリンク

分解と化合

化学変化の中でも、1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化分解2種類以上の物質が結びつき、別の1種類の物質になる化学変化化合といいます。

分解ABC

化合ABC

熱分解と電気分解

1種類の物質が、別の2種類以上の物質に分かれる化学変化が分解ですが、分解の方法で次の2つの分解があります。

  • 熱分解
    加熱により、物質を分解すること
    例)炭酸水素ナトリウム、酸化銀
  • 電気分解
    電気を流すことで、物質を分解すること
    例)水、塩化銅水溶液

酸化銀の熱分解

酸化銀は、銀と酸素が化合した物質です。酸化銀の色は黒色で、理科の実験でよく登場します。酸化銀を加熱することで、次のような化学変化が生じます。

酸化銀(黒色)(白色)酸素

この化学変化は、1種類の物質が2種類以上の別の物質に変化しているので分解とよばれる化学変化になります。その中でも加熱によって分解しているので熱分解となります。

また、加熱前の酸化銀は黒色でしたが、加熱後に試験管内に残る銀の色は白色になります。

酸化銀と銀の性質の違い

加熱前の酸化銀と、加熱後に試験管に残る銀は、まったく別の物質になっています。次のような性質の違いが現れます。

加熱前 加熱後
物質名 酸化銀
黒色 白色
電流 流れない 流れる
みがく ぼろぼろ 金属光沢

加熱前の酸化銀は金属の性質がありませんが、加熱後の銀には金属の性質が現れます。

発生した気体の調べ方

酸化銀を加熱したときに発生する気体は酸素です。したがって次のように調べます。

火のついた線香を近づける。線香が炎をあげて激しく燃える。

気体の調べ方は非常に重要です。酸素だけでなく、水素や二酸化炭素、塩素などの調べ方も復習しておきましょう。

実験の注意点

酸化銀の熱分解の実験で注意する点は、以下の2点です。

酸化銀の熱分解

  • 試験管の口の方を少し下に傾けて加熱する。
    →理由:発生した液体が加熱部に流れ、試験管が割れるのを防ぐため。
  • 火を消す前に、ガラス管を水槽の水の中から取り出しておく。
    →理由:水槽の水が逆流し、試験管が割れるのを防ぐため。

酸化銀の熱分解の化学反応式

まずは、登場する物質の化学式を覚えましょう。

  • 酸化銀…Ag₂O
  • 銀…Ag
  • 酸素…O₂

酸化銀Ag₂Oの化学式を覚えていない生徒が多いので、しっかりと覚えるようにしましょう。なぜ銀原子Agと酸素原子Oが2:1の割合で化合しているのかは、高校生で化学を勉強しないとわかりません。ここは、割り切って暗記するようにしましょう。

次に化学反応式をつくります。まずは、化学変化を日本語で書き、それぞれの物質を化学式で表すところから始めます。

  • 酸化銀→銀+酸素
    Ag₂O→Ag+O₂

次は、化学変化の前後(矢印の左右)で、原子の数が等しくなるように係数を付けます。まずは、酸素原子Oの数を合わせ、その後に銀原子Agの数を合わせます。

  • 2Ag₂O→4Ag+O₂

入試でもよく登場する化学反応式になりますので、必ず作れるようになりましょう

酸化銀の熱分解の確認問題

  1. 酸化銀の色は何色か。
  2. 加熱すると何色の物質が試験管に残るか。
  3. 加熱後、試験管に残った白い物質は何か。
  4. 発生した気体に線香の火を近づけるとどうなるか。
  5. 酸化銀を加熱することによって起こる化学変化を何というか。
  6. 酸化銀の変化を化学反応式で書け。

解答

  1. 黒色
  2. 白色
  3. 炎をあげて激しく燃える。
  4. (熱)分解
  5. 2Ag₂O→4Ag+O₂

炭酸水素ナトリウムの熱分解

炭酸水素ナトリウムは、私たちに非常に身近な物質で、ホットケーキミックスに入っているベーキングパウダーや、ふくらし粉重曹(じゅうそう)などにも含まれて物質です。加熱や水に溶かすことで二酸化炭素が発生する物質で、ホットケーキをふっくらとふくらまかせたりする役割を担っています。

白色の炭酸水素ナトリウムを試験管に入れ、ガスバーナーで加熱すると、白色の物質が試験管に残り、試験管の口付近に液体が生じ、同時に気体も発生します。

炭酸水素ナトリウム

加熱後に残る白い物質は、水に溶けやすく、フェノールフタレイン溶液を入れると濃い赤色になります。加熱後に残る固体炭酸ナトリウムです。

加熱後に、試験管の口付近につく液体に青色の塩化コバルト紙をつけると、青色から赤色に変化します。加熱後に生じた液体です。

発生した気体を石灰水に通すと、石灰水が白くにごります加熱後に発生した気体二酸化炭素になります。

炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの比較

加熱前の炭酸水素ナトリウムも、加熱後に試験管に残る炭酸ナトリウムも、どちらも白い固体で別の物質に変わったかがわかりません。ここでは違う物質であることを調べる実験と、その結果をよく聞かれます。

加熱前の物質 加熱後の物質
物質名 炭酸水素ナトリウム 炭酸ナトリウム
水への溶け方 水に少し溶ける 水によく溶ける
フェノールフタレイン液 薄い赤色 濃い赤色
水溶液の性質 弱いアルカリ性 強いアルカリ性

炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式

炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO₃です。「なほ子さん」と覚えてください。炭酸ナトリウムの化学式Na₂CO₃です。「なつ子さん」と覚えましょう。

炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水
2NaHCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O

炭酸水素ナトリウムの熱分解の確認問題

  1. 炭酸水素ナトリウムを熱分解すると何という物質に分かれるか。物質名で3つ答えよ。
  2. 炭酸水素ナトリウムを加熱すると何という化学変化が起こるか。
  3. 炭酸水素ナトリウムを加熱したときに生じる液体を調べる紙は何か。
  4. 3は何色から何色に変化するか。
  5. 加熱前の炭酸水素ナトリウムと加熱後に試験管に残る物質では、どちらが水に溶けやすいか。
  6. 加熱前の物質と、加熱後の物質が違う物質であることを確かめる方法とその結果を書け。
  7. 炭酸水素ナトリウムを加熱するときに、試験管の口の方を少し下げて加熱する理由を書け。
  8. 加熱を止める前にすることは何か。理由とともに答えよ。
  9. 炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式をかけ。

解答

  1. 炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水
  2. 熱分解(分解)
  3. 塩化コバルト紙
  4. 青色から赤色
  5. 加熱後に試験管に残る物質
  6. 水に溶かし、フェノールフタレイン溶液を入れると、加熱後の物質の方が濃い赤色になる。
  7. 発生した液体が加熱部に流れ、試験管が割れるのを防ぐため。
  8. 石灰水の逆流を防ぐため、ガラス管を石灰水の中からとり出しておく。
  9. 2NaHCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O

【理科問題❶】酸化銀の熱分解

問題下の実験は、金属の酸化物を加熱した実験である。これについて、次の各問いに答えよ。

酸化銀の熱分解〔実験〕右の図のように、黒色の酸化銀の粉末2.9gを試験管Aに入れて加熱すると気体が発生し、試験管の中に白色の固体2.7gが残った。発生した気体は右図のように試験管Bに集めた。

(1)実験で残った固体が金属であると確かめる方法として適切でないものを、次のア~エから1つ選び、記号を書け。
ア 電気を通すかどうかを調べる。
イ たたくとうすくのびるかどうかを調べる。
ウ 磁石につくかどうかを調べる。
エ みがくと光沢がでるかどうかを調べる。

(2)実験の気体の集め方は、何という気体の集め方か。また、その気体の集め方で集めることができる気体には、どのような性質があるか。

(3)実験で発生した気体を調べる方法とその結果を、簡潔に書け。

(4)この実験で起こった化学変化を化学反応式で書け。

(5)この実験のように加熱により、1種類の物質を2種類以上の物質に分ける化学変化を何というか。

(6)酸化銀から5.4gの金属を得るには、酸化銀は何g必要か。ただし、実験で酸化銀はすべて反応したものとする。

【解答・解説❶】酸化銀の熱分解

(1)

酸化銀を熱分解すると、金属の銀が試験管に残ります。銀には金属の性質があり、みがくと金属光沢が出たり、たたくとうすく広がったり、熱や電気をよく通します。磁石に引きつけられるという性質は、鉄だけが持つ性質になります。

(2)集め方:水上置換法 性質:水に溶けにくい性質。

酸化銀の熱分解で発生する酸素は、水に溶けにくいという性質があるので、水上置換法で集めます。水上置換法で気体を集める場合、まわりが水でおおわれているので、純粋な気体を集めるのに適しています。

(3)線香の火を近づけると、炎をあげて激しく燃える。

酸化銀の熱分解で発生する酸素は、線香の火を使って調べます。線香の火を近づけると、線香の火が激しく燃えます。

(4)2Ag2O→4Ag+O2

酸化銀の化学式はAg2O、銀の化学式はAg、酸素の化学式はO2、でこれらを化学反応式にし、原子の数を合わせると、上記の反応式が書けます

(5)熱分解

1種類の物質を2種類以上の別の物質にする化学変化なので分解になります。その中でも加熱により分解しているので熱分解が答えになります。

(6)5.8g

実験では、2.9gの酸化銀から2.7gの銀を得ているので、
2.9:2.7=x:5.4
x=5.8
となります。

【理科問題❷】炭酸水素ナトリウムの熱分解

問題下図のように、炭酸水素ナトリウム3.0gを十分に熱したところ、気体が発生し、試験管の口付近に液体がついていた。また、加熱後の試験管内には白色の固体が残っていた。残った白い個体の質量を測定すると2.5gであった。次の各問いに答えよ。ただし、試験管内の炭酸水素ナトリウムは完全に反応したものとする。

炭酸水素ナトリウムの熱分解

(1)上の図のような気体の集め方を何というか。

(2)上の図のような集め方をするような気体にはどのような性質があるか。

(3)集めた気体を石灰水に通すとどうなるか。

(4)発生した気体は何か。

(5)発生した気体から炭酸水素ナトリウムにはどんな原子が含まれているとわかるか。原子の記号で2つ答えよ。

(6)試験管の口付近についていた液体に塩化コバルト紙をつけると、何色から何色に変化するか。

(7)塩化コバルト紙の色の変化から何が発生したとわかるか。

(8)発生した液体から炭酸水素ナトリウムにはどんな原子が含まれているとわかるか。原子の記号で2つ答えよ。

(9)炭酸水素ナトリウムと、加熱後に試験管に残った白色の固体が別の物質であることを確かめる方法と、その結果を簡潔に答えよ。

(10)炭酸水素ナトリウムのように、加熱して別の物質に分かれるような化学変化を特に何というか。

(11)炭酸水素ナトリウムの化学変化を化学反応式で表せ。

(12)実験では3.0gの炭酸水素ナトリウムを加熱すると、2.5gの炭酸ナトリウムが残ったが、4.5gの炭酸水素ナトリウムを加熱すると、合計で何gの液体と気体が生じるか。

(13)炭酸水素ナトリウムはベーキングパウダーやふくらし粉にも含まれている。この実験からホットケーキが膨らむ理由を簡潔に答えよ。

【解答・解説❷】炭酸水素ナトリウムの熱分解

(1)水上置換法
水で覆われた状態で気体を集めるので、発生した気体を確認でき、純粋な気体を集めることができます。

気体の集め方水上置換法…水に溶けにくい気体(例)水素、酸素、二酸化炭素
上方置換法…水に溶けやすく、空気より密度が小さい気体(例)アンモニアのみ
下方置換法…水に溶けやすく、空気より密度が大きい気体(例)塩素、二酸化炭素

(2)水に溶けにくい性質
水に溶けにくい気体はすべて水上置換法で集めます。水に溶けやすい気体は、空気より軽い場合「上方置換法」、空気より重い気体は「下方置換法」で集めます。

(3)白くにごる。
発生した気体が二酸化炭素であるかどうかを調べるには石灰水に通して、白くにごるかどうかを調べます。

気体の判別方法二酸化炭素…石灰水に通すと白くにごる。
酸素…線香の火を近づけると激しく燃える。
水素…マッチの火を近づけると爆発して水ができる。

(4)二酸化炭素
石灰水が白くにごったことから、発生した気体は二酸化炭素であることがわかります。

(5)C、O
発生した気体である二酸化炭素の化学式はCO₂です。このことから炭酸水素ナトリウムには炭素Cと酸素Oの2つの原子が含まれているとわかります。

(6)青から赤
塩化コバルト紙は水があるかどうかを調べる試験紙です。水につけると色が青色から赤色に変化します。

塩化コバルト紙と反応して、青色から赤色に変化する。

(7)
塩化コバルト紙の色が青色から赤色に変化したことから、発生した液体が水であることがわかります。

(8)H、O
発生した液体である水の化学式はH₂Oです。このことから炭酸水素ナトリウムには水素Hと酸素Oの2つの原子が含まれていることがわかります。

(9)水に溶かしフェノールフタレイン溶液を入れると、炭酸水素ナトリウムはうすい赤色になり、加熱後の白い個体は濃い赤色になる。
炭酸水素ナトリウムは水に少し溶け弱いアルカリ性を示す物質です。加熱後の白い個体である炭酸ナトリウムは、水のよく溶け強いアルカリ性を示す物質です。

炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの違い炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの違い

(10)熱分解
1種類の物質が2種類以上の別の物質になる化学変化を「分解」といいます。中でも加熱によって起こる分解を「熱分解」といいます。

(11)2NaHCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O
炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO₃(ナホコさん)で、加熱後の白い物質である炭酸ナトリウムの化学式はNa₂CO₃(ナツコさん)です。Na原子の数を見れば、どこに係数をつければよいかがわかります。

(12)0.75g
炭酸水素ナトリウム3.0gの熱分解で発生した二酸化炭素と水の質量の合計は、3.0-2.5=0.5gです。今度は炭酸水素ナトリウムを4.5g加熱しているので、3.0:0.5=4.5:xを計算すると、x=0.75と求めることができます。

(13)熱分解により二酸化炭素が発生するから。
ベーキングパウダーに含まれる炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素が発生し、ホットケーキがふっくらと膨らみます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

スポンサーリンク
トップへ戻る