中学2年理科。天気の分野の中でも計算が必要な分野である飽和水蒸気量について学習します。湿度を計算したり、露点を求めたりする問題をマスターしましょう。
飽和水蒸気量と湿度や露点の求め方
天気の中でも計算が必要な分野になります。面倒な小数の割り算をしないといけないところですが、計算ミスの無いように練習を積み重ねてください。ここでは次のことができるようになってください。
- 飽和水蒸気量などの用語を覚える
- 飽和水蒸気量のグラフを読める
- 湿度の計算ができる
- 露点を求められる
- 生じる水滴の量を求められる
以上の5点です。ここまでできればこの単元は8割マスターです。
飽和水蒸気量などの基本用語
まずは、飽和水蒸気量の計算問題で登場する基本的な用語を覚えましょう。用語がわからないと何を求めたらいいのかがわかりません。用語単体で出題されることも多くみられるのでしっかりと意味まで覚えましょう。
飽和水蒸気量
飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)とは、空気1㎥中に含むことのできる最大の水蒸気量をいいます。飽和水蒸気量は気温が高いほど大きくなり、気温が低いほど小さくなります。気温が高いほど洗濯物が乾きやすいのはこのためです。
凝結
水蒸気が水滴(水)に変わる現象を凝結(ぎょうけつ)といいます。冬の寒い日に窓ガラスの内側に水滴がついているのは、部屋のあたたかい空気が冷やされ、凝結して水滴に変わったからです。
露点
水蒸気が凝結して水滴に変わり始める温度です。「〇〇点」ですので気温を指していることに注意してください。空気中に含まれる水蒸気が多いほど露点は高くなり、水蒸気が少ないほど露点は低くなります。
飽和水蒸気量のグラフ
飽和水蒸気量は、空気1㎥中に含むことのできる水蒸気の最大の量のことでした。気温が高くなると大きくなり、低くなると小さくなります。次のような曲線で表されます。
計算しやすいように、ここでは実際の飽和水蒸気量ではない数字を使っています。
❷気温が下がる→飽和水蒸気量が小さくなる
これは非常に大切です。記述問題で使います。
飽和水蒸気量に関する計算問題
この飽和水蒸気量のグラフに関する計算問題などをまとめてみました。特に湿度や露点を求めさせる問題は頻出です。
下のグラフを見てください。Aという空気があります。
- 気温…25℃
- 水蒸気量…10g/m³
- 飽和水蒸気量…25g/m³
g/m³とは1m³中に何g水蒸気が入るかを表しています。
空気1m³中にあと何gの水蒸気を含めるか
まず計算で出てくるのが、「空気1㎥中にあと何gの水蒸気を含めるか?」という問題です。これは簡単な引き算で求めることができます。
飽和水蒸気量-実際の水蒸気量=あと含むことのできる水蒸気量
25g-10g=15g
湿度の計算
次に登場するのが、非常に重要な湿度の計算です。乾湿計で湿度を読み取る問題もありましたが、ここでは計算で求めます。
湿度は、飽和水蒸気量をもとにしたとき(100%にしたとき)に、実際の水蒸気量が何%になるかを表したものです。したがって湿度は次の式で求めることができます。
空気Aの湿度を実際に求めてみましょう。
空気Aの水蒸気量が10g/㎥、飽和水蒸気量が25g/㎥なので、
湿度=10/25 ×100
40%だと計算できます。
実際は割り切れずに小数で答えが出てくるので、四捨五入する位置を間違えないようにしましょう。
露点の求め方
湿度の計算ができるようになると、次は露点を求める練習をしましょう。露点とは、水蒸気が凝結して水滴になるときの温度でしたね。
露点を求めるときは空気を冷やします。グラフの場合、水蒸気量を棒グラフで書き込み、その棒グラフを左にずらして露点を求めてください。
棒グラフが飽和水蒸気量のグラフにぶつかったところの気温が露点となります。
したがって空気Aの露点は15℃です。
露点になったとき、飽和水蒸気量と実際の水蒸気量が等しくなっています。このとき湿度は100%になっていることも押さえておきましょう。
生じる水滴の求め方
最後は、水蒸気が凝結して生じる水滴の量です。これ棒グラフをずらしながら考えていきましょう。
グラフから、5℃の飽和水蒸気量は5g/㎥です。含まれていた水蒸気量は10g/㎥でしたので、
10g-5g=5g
5gの水蒸気が水滴となって生じます。
以上が飽和水蒸気量に関する計算の基本です。
【対策問題】湿度・水蒸気量・露点の計算
下の表は、気温と飽和水蒸気量との関係を示したものである。現在の教室内の気温は20℃で、空気1m³中に11.4gの水蒸気が含まれている。次の各問いに答えよ。
気温[℃] | 飽和水蒸気量[g] |
10 | 9.4 |
11 | 10.0 |
12 | 10.7 |
13 | 11.4 |
14 | 12.1 |
15 | 12.8 |
16 | 13.6 |
17 | 14.5 |
18 | 15.4 |
19 | 16.3 |
20 | 17.3 |
(1)この空気は、1m³あたりあと何gの水蒸気を含むことができるか。
(2)教室の体積が200m³だったとすると、あと何gの水蒸気を含むことができるか。
(3)このときの教室内の湿度は何%か。小数第2位を四捨五入して求めなさい。
(4)この空気を冷やしていったとき、水滴が生じ始めるのは何℃になったときか。
(5)(4)の温度をこの空気の何というか。
(6)教室の空気を冷やして11℃にしたとき、教室200m³全体で何gの水滴が生じるか。
(7)教室の気温と湿度が変化し、気温が12℃、湿度が60%になったとき、空気1m³中に含まれている水蒸気は何gか。小数第2位を四捨五入し求めなさい。
(8)教室の気温と湿度が変化し、気温が18℃で露点が10℃になった。このときの空気の湿度は何%になるか整数で求めよ。
【解答・解説】湿度や水蒸気量・露点の計算
(1)5.9g
20℃の飽和水蒸気量(最大含める水蒸気量)が17.3gで、実際に含まれている水蒸気量が11.4gなので、あと含むことができる水蒸気量は次のように計算できます。
17.3g-11.4g=5.9g
(2)1180g
(1)より、空気1m³中にあと5.9gの水蒸気が入るので、教室200m³中には次の水蒸気量を含むことができます。
5.9g×200m³=1180g
(3)65.9%
湿度は飽和水蒸気量に対する実際の水蒸気量の割合なので、実際の水蒸気量÷飽和水蒸気量を求めて100倍にすることで求められる。
11.4÷17.3=0.6589…
0.6589×100=65.9%

(4)13℃
実際に含まれている水蒸気量は、空気1m³あたり11.4gなので、表で11.4gが飽和水蒸気量になっている気温を探すと13℃になる。この空気を13℃まで冷やすと水蒸気が凝結し、水滴が生じ始める。
(5)露点
水蒸気が凝結し、水滴に変わり始める温度を露点という。
・凝結…水蒸気が水滴になること。
・飽和水蒸気量…空気1m³中に含むことができる水蒸気の最大の量。
(6)280g
空気1m³中に11.4gの水蒸気を含む教室の空気を11℃まで下げると、飽和水蒸気量が10.0gになるので、
11.4g-10.0g=1.4g
空気1m³あたり1.4gの水滴が生じる。教室の体積は200m³なので、
1.4g×200m³=280g
教室全体で280gの水滴が生じることになる。
(7)6.4g
12℃の飽和水蒸気量は表より10.7g。湿度は飽和水蒸気量に対する実際の水蒸気量の割合なので、この空気中に含まれる水蒸気量は、
10.7g×0.6=6.42g
したがって、水蒸気量は6.4gとなる。
(8)61%
気温が18℃なので、飽和水蒸気量は15.4g。露点が10℃ということは、10℃の飽和水蒸気量より9.4gの水蒸気が含まれていることがわかる。
9.4÷15.4=0.610…
0.610×100=61%
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