中学国語の「短歌」(覚えておきたい短歌付)についてまとめています。入試でも近年出題が増加傾向です。短歌では、鑑賞文と照らし合わせながら読むことで、理解を深めていくことも大切です。また、筆者のものの見方や言葉遣い、表現のしかたなどを読み取る必要があります。
短歌
短歌の形式を知り、独特のリズムになれていきましょう。
- 形式
「五・七・五・七・七」の五句三十一音からなる定型詩。最初の三句「五・七・五」を上の句(長句)といい、後の二句「七・七」下の句(短句)といいます。音数が基本より多いものを字余り、少ないものを字足らずといいます。 - 区切れ…意味や調子のうえでの切れ目。初句切れ、二区切れ、三区切れ、四句切れ、句切れなし(結句切れ)があります。感動を表す助辞である「や・かな・けり・たり・ぞ」などで句切れをつかみましょう。
- 枕詞(まくらことば)
特に意味を持たない五音の修飾語。特定の言葉に付き調子を整えます。
<例>たらちねの→母、あしびきの→山、あをによし→奈良、くさまくら→旅
短歌による表現は、新しい時代の言葉で日本語を磨いてきました。
短歌の表現技法
- 直喩…「ようだ」「ような」などのを使ってたとえます。(例)綿のような雲
- 隠喩…「ようだ」「ような」などのを使わずにたとえます。(例)彼女は、私の宝だ。
- 擬人法…人でないものを人にたとえる。(例)風がささやく
- 体言止め…終わりを体言で止めて、余韻を残す。(例)過ぎてゆく時間
- 反復法…語や句を繰り返して、リズム感をもたせる。(例)球が飛ぶ、飛ぶ。
- 倒置法…語順を糧、感動を強調させる。(例)咲いたよ、花が。
- 対句法…対照的な言葉や似た構造の表現を並べ、印象を強める。(例)地には蛍、天には星。
覚えておきたい短歌
入試やテストでよく出題される短歌です。
山部赤人
<鑑賞>
田子の浦を通って視界の開けたところに出てみると、富士の高嶺には、真っ白な雪が降り積もっているよ。
大伴家持
<鑑賞>
うららかに火の照っている春の日に、ひばりが空高く飛び上がってさえずり、心は悲しくあることだなあ。ひとりでもの思いをしていると。
窪田空穂
<鑑賞>
鳳仙花の花が散られまして落ちられましてその下におられました小さき蟹様が驚かられまして鋏を捧げられまして走られまして行かれました
- 「驚き走る」が擬人法
若山牧水
<鑑賞>
白鳥(かもめ)は寂しくはのだろうか、いや寂しいだろう。空の青色や海の青色にも(混じって)染まることなく(ただ一人で空を)ただよっている。
- かなしからずや は、「孤独で寂しくないのだろうか。(白鳥の心情を推測)」と「純粋でいとおしくないだろうか、いやいとおしい。(白鳥を見ている作者の心情)」が読み取れる。
石川啄木
<鑑賞>
十五歳のとき,不来方のお城(=盛岡城)の草に寝ころんで,(空を見ていると) 心まで空に吸われてしまったようだ。
<鑑賞>
やわらかに柳の青み初めた故郷の北上川の岸辺が目に見えるよ。なつかしさに泣けとでもいうように。
木下利玄
<鑑賞>
町を歩いていて 子供とすれ違った。そのときふと蜜柑の香りがした。また冬が来たのだなあと懐かしいような気がした。
岡本かの子
<鑑賞>
桜の花が古来より愛され、鑑賞されてきたのは、桜の花も人間と同じく、精一杯に命をかけて咲いているからだ。私もそれが分かるから、眺めるのだ
- 桜が「いのち一ぱいに咲く」という部分は擬人法
前川佐美雄
<鑑賞>
ぞろぞろと鳥や動物を引き連れて、秋晴れの街に、遊びに行きたい。
斎藤史
<鑑賞>
あんずの花びらが散り、港まで舞ってきて、港に停泊している船と言う船が、全て花びらで真っ白に塗られた様になりました。
志貴皇子
<鑑賞>
激しく流れ下る滝の上の台地のわらびが、勢いよく芽を出す春になったことだなあ。
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