中学国語の古典「今昔物語集」についてまとめています。「今昔物語集」は、平安時代の末期、前九年の役・後三年の役や保元・平治の乱などが起きた荒れた時代に編集されたものです。「今は昔、」の書き出しですべての物語が書かれていることからその名前が付けられています。高校入試でも頻繁に取り上げられる古典であり、ストーリーも非常に面白いのが特徴です。
今昔物語集のポイント
冒頭は「今昔(訳:今となっては昔のことだが)」で始まり、最後は「と、なむ語り伝えたるとや(訳:〜と、このように語り伝えられているのだという」)という結びの句で終わるのが特徴です。
多くの物語が収められていますが、大きく3部構成となっており。第1部がインド編、第2部が中国編、第3部が日本編となっていて、様々な説話が集められています。
説話集なので、まずは本文をしっかりと熟読し、話の流れをつかむことが重要です。どんな人物が出てきて、どんなストーリー展開になっているのかがつかめればおのずと答えが導き出せます。
項目 | 内容 |
---|---|
物語の概要 | 実因僧都(じついんそうず)が、ある夜に美しい女性に誘惑されるが、それが妖怪であると発覚する話。 |
登場人物 | – 実因僧都:主人公で、修行中の僧。 |
– 美しい女性(実は妖怪):実因を誘惑する存在。 | |
舞台 | 平安時代の京都付近。夜の静けさと怪異が現れる神秘的な雰囲気が強調される。 |
テーマ | – 欲望に対する戒め。 |
– 修行者としての心構えと誘惑への耐性の重要性。 | |
教訓 | – 見た目に惑わされず本質を見抜くことの重要性。 |
– 修行者が持つべき冷静さと自制心。 | |
物語の展開 | 1. 実因僧都が夜の静けさの中、女性と出会う。 |
2. 美しい女性に誘惑される。 | |
3. 女性の正体が妖怪であると気づく。 | |
4. 実因が祈りの力で妖怪を退ける。 | |
文学的特徴 | – 平安時代の仏教的価値観や怪異談の反映。 |
– 人間の弱さを描きつつ、道徳を説く物語構成。 | |
関連する背景 | – 平安時代は怪異や妖怪の話が多く語られる時代。 |
– 仏教が社会や人々の価値観に大きく影響を与えた。 |
【対策問題】今昔物語集『実因僧都』
次の古文を読んで、後の各問いに答えよ。
〔口語訳〕今は昔のこと、比叡山の西塔に実因僧都という人がいた。人々は小松の僧都と呼んでいた。顕教と密教の両道にわたって、このうえなくすぐれていた人である。そのうえ、( )力持ちであった。
僧都が昼寝をしていたときに、若い弟子たちが、師の力持ちであることを聞いてためすために、くるみを持ってきて、僧都の足の指十本の間にくるみを八つはさんだところ、僧都は気づいてたぬき寝入りをしていたので、するとおりにはさませておいてから、寝たまま伸びをするように、「う、ううん。」とうめいて足をはさみつけると、八つのくるみは一度にバリバリと砕けてしまった。
(1)原文中の下線部ア~ウを、現代仮名遣いに直してかけ。
(2)口語に訳すとき、原文中の❶~❹にはどのような助詞が補われるか。それぞれひらがな一字で書け。
(3)口語訳の文中の( )に入る、原文中の下線部①いみじくの意味を書け。
(4)原文中の下線部②したりたればについて、次のⅰ、ⅱの場合の意味の違いを書け。
ⅰ
ⅱ
(5)原文中から、係り結びが用いられている部分を書きだしなさい。
【解答】
(1)ア:いう人 イ:いいける ウ:ように
(2)❶が ❷を ❸が ❹は
(3)ものすごい(大変な)
(4)ⅰ:していたので ⅱ:したならば
(5)僧都とぞいひける
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