中学2年理科の化学変化では、まず熱分解に関する知識を学習します。ここはほとんどが暗記になる単元ですので、しっかりと覚えていきましょう。また、化学反応式などを学習していない方は、そこを飛ばして勉強してください。
目次
炭酸水素ナトリウムの熱分解
炭酸水素ナトリウムは、私たちに非常に身近な物質で、ホットケーキミックスに入っているベーキングパウダーや、ふくらし粉、重曹などにも含まれて物質です。加熱や水に溶かすことで二酸化炭素が発生する物質で、ホットケーキをふっくらとふくらまかせたりする役割を担っています。
ここでは、化学的にもっと詳しくみていきましょう。まずは化学変化から学習していきましょう。
化学変化とは?
中学校では2つの変化を学習します。1つは状態変化です。中学1年生で学習しましたが。物質の状態(固体、液体、気体)だけが変化し、物質の性質は変化しませんでした。記号で簡単に説明すると、次のようになります。
A→a
形は変わっていますが、「A」という性質は変わっていません。それに対して、中学2年生で学習する化学変化では、物質そのものが変わってしまう変化になります。簡単に記号で説明すると、次のようになります。
A→B
「A」とはまったく別の「B」に変わりますので、性質が変わってきます。まとめると化学変化は次のようになります。
分解と化合
化学変化の中でも、1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる変化を「分解」、2種類以上の物質が結びつき、別の1種類の物質になる化学変化を「化合」といいます。
分解:A→B+C
化合:A+B→C
熱分解と電気分解
1種類の物質が、別の2種類以上の物質に分かれる化学変化が分解ですが、分解の方法で次の2つの分解があります。
- 熱分解
加熱により、物質を分解すること
例)炭酸水素ナトリウム、酸化銀 - 電気分解
電気を流すことで、物質を分解すること
例)水、塩化銅水溶液
炭酸水素ナトリウムの熱分解
白色の炭酸水素ナトリウムを試験管に入れ、ガスバーナーで加熱すると、白色の物質が試験管に残り、試験管の口付近に液体が生じ、同時に気体も発生します。
加熱後に残る白い物質は、水に溶けやすく、フェノールフタレイン溶液を入れると濃い赤色になります。加熱後に残る物質は炭酸ナトリウムです。
加熱後に、試験管の口付近につく液体に青色の塩化コバルト紙をつけると、青色から赤色に変化します。加熱後に生じた液体は水です。
発生した気体を石灰水に通すと、石灰水が白くにごります。加熱後に発生した気体は二酸化炭素になります。
炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの比較
加熱前の炭酸水素ナトリウムも、加熱後に試験管に残る炭酸ナトリウムも、どちらも白い個体で別の物質に変わったかがわかりません。ここでは違う物質であることを調べる実験と、その結果をよく聞かれます。
加熱前の物質 | 加熱後の物質 | |
物質名 | 炭酸水素ナトリウム | 炭酸ナトリウム |
水への溶け方 | 水に少し溶ける | 水によく溶ける |
フェノールフタレイン液 | 薄い赤色 | 濃い赤色 |
水溶液の性質 | 弱いアルカリ性 | 強いアルカリ性 |
炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式
炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO3です。「なほ子さん」と覚えてください。炭酸ナトリウムの化学式Na2CO3です。「なつ子さん」と覚えましょう。
2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
炭酸水素ナトリウムの熱分解練習問題
- 炭酸水素ナトリウムを熱分解すると何という物質に分かれるか。物質名で3つ答えよ。
- 炭酸水素ナトリウムを加熱すると何という化学変化が起こるか。
- 炭酸水素ナトリウムを加熱したときに生じる液体を調べる紙は何か。
- 3は何色から何色に変化するか。
- 加熱前の炭酸水素ナトリウムと加熱後に試験管に残る物質では、どちらが水に溶けやすいか。
- 加熱前の物質と、加熱後の物質が違う物質であることを確かめる方法とその結果を書け。
- 炭酸水素ナトリウムを加熱するときに、試験管の口の方を少し下げて加熱する理由を書け。
- 加熱を止める前にすることは何か。理由とともに答えよ。
- 炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式をかけ。
解答
- 炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水
- 熱分解(分解)
- 塩化コバルト紙
- 青色から赤色
- 加熱後に試験管に残る物質
- 水に溶かし、フェノールフタレイン溶液を入れると、加熱後の物質の方が濃い赤色になる。
- 発生した液体が加熱部に流れ、試験管が割れるのを防ぐため。
- 石灰水の逆流を防ぐため、ガラス管を石灰水の中からとり出しておく。
- 2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O