【中学3年理科】原子とイオン・電離のポイントと問題演習

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中学3年で学習する化学分野は化学変化と原子・イオンになります。高校化学に直結する非常に大切な分野になります。今日はイオンを勉強するうえで基礎となる「原子とイオンの違い」をマスターしましょう。さらに、物質がイオンになる現象である電離についても詳しく見ていきます。テストや入試に登場する電解質。非電解質も覚えましょう。

原子のつくり

中学2年生で原子について少し学習しました。簡単に復習すると、原子とは、物質をつくっている最小の粒で、それ以上分解できない粒でした。この原子が何個か結びつくことで分子などができていましたよね。

今日は、原子のつくりをもっと詳しくみていきます。原子を構成する粒子の名前と、それぞれの数の関係を覚えましょう。

原子

上の図は原子を拡大してみたものです。原子の中心には原子核というつくりがあり、原子核の中には+の電気を帯びた陽子電気を帯びていない中性子が入っています。

そして、その原子核のまわりを-の電気を帯びた電子という粒子が回っています。

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原子番号

原子核の中にある陽子の数で原子の種類が決まります。ですので陽子の数を原子番号といい、原子一つ一つに番号が付けられています。

原子番号 原子 陽子の数
1   H 水素 1個
2   He ヘリウム 2個
3   Li リチウム 3個
4   Be ベリリウム 4個
5   B ホウ素 5個
6   C 炭素 6個
7   N 窒素 7個
8   O 酸素 8個
9   F フッ素 9個

陽子の数と電子の数

原子では、必ず、陽子の数と電子の数が同じになっています。プラスの電気を帯びた陽子の数と、マイナスの電気を帯びた電子の数が同じですので、原子全体としては電気を帯びていない状態になります。

この電気を帯びていない状態を「電気的に中性」と言ったりもします。この電気を帯びたいない状態からバランスが崩れ、電気を帯びてしまうと原子ではなくイオンと名称が変わります。

原子のポイント❶陽子は+の電気を帯びている。
❷電子は-の電気を帯びている。
❸中性子は電気を帯びていない。
❹原子全体でみると陽子の数と電子の数が等しいので、原子は電気的に中性である。

イオンとは

原子は陽子(+)の数と電子(-)の数が等しく電気的に中性でしたが、電子を失ったり、電子を受けとったりすると、+や-の電気を帯びます。電気を帯びると原子とはいわずにイオンとよばれる粒になります。

  • イオン…原子が電気を帯びたもの。

原子とイオン

陽イオン

イオンの中でも+の電気を帯びたイオンを陽イオンといいます。陽イオンができるには、原子が電子を失うことが必要です。

原子→陽イオン電子⊖

例としてナトリウム原子が陽イオンのナトリウムイオンになる様子をイオン式や化学式で表してみました。

Na→Na++e(eは電子)
ナトリウム原子→ナトリウムイオン電子

陽イオンの価数

  • 1価の陽イオン
    原子が電子を1つ失い、電子よりも陽子が1つ多い状態になったもの。
    例)H⁺ Na⁺
  • 2価の陽イオン
    原子が電子を2つ失い、電子よりも陽子が2つ多い状態になったもの。
    例)Ca²⁺ Cu²⁺
  • 3価の陽イオン
    原子が電子を3つ失い、電子よりも陽子が3つ多い状態になったもの。
    例)Al³⁺

陰イオン

イオンの中でも-の電気を帯びたイオンを陰イオンといいます。陰イオンは原子が電子を受けとり、電子が陽子よりも多くなることでできます。

原子+電子⊖陰イオン

例として塩素原子が陰イオンの塩化物イオンになる様子をイオン式や化学式で表すと次のようになります。

Cl+eCl⁻
塩素原子+電子塩化物イオン

陰イオンの価数

  • 1価の陰イオン
    原子が電子を1つ受けとり、陽子よりも電子が1つ多い状態になったもの。
    例)Cl⁻ OH⁻
  • 2価の陰イオン
    原子が電子を2つ受けとり、陽子よりも電子が2つ多い状態になったもの。
    例)O²⁻ SO₄²⁻
  • 3価の陰イオン
    原子が電子を3つ受けとり、陽子よりも電子が3つ多い状態になったもの。
    例)PO₄³⁻
イオンのでき方ポイント!❶原子が電子を失い、+の電気を帯びると陽イオンになる。
❷原子が電子を受けとり、-の電気を帯びると陰イオンになる。

原子とイオンの確認問題

  1. 原子の中心にあり+の電気を帯びたものを何というか。
  2. 1の周りを飛んでいる-の電気を帯びた小さな粒子を何というか。
  3. 1の中にある+の電気を帯びた粒子を何というか。
  4. 1の中にあり、電気を帯びていない粒子を何というか。
  5. 原子全体では電気を帯びているか。
  6. 陽子の数と電子の数はどうなっているか。
  7. 原子が電気を帯びたものを何というか。
  8. 原子が電子を失うと何という粒子ができるか。
  9. 原子が電子を受けとると何という粒子ができるか。
  10. ナトリウムイオンのイオン式をかけ。
  11. 塩素原子が電子を失うと何というイオンができるか。名称とイオン式をかけ。

解答

  1. 原子核
  2. 電子
  3. 陽子
  4. 中性子
  5. 帯びていない。
  6. 等しくなっている。
  7. イオン
  8. 陽イオン
  9. 陰イオン
  10. Na⁺
  11. 塩化物イオン、Cl⁻

電解質と非電解質

電解質とは、水に溶かすと電流を流す物質のことです。食塩や水酸化ナトリウムなど多くの電解質があります。

非電解質とは、水に溶かしても電流をながさない物質のことです。砂糖やエタノールなどがあります。

非電解質を覚える

電解質と非電解質を分類させる問題がよく出題されます。どの物質が電解質で非電解質なのかを覚える必要がありますが、非電解質のみを覚えて、あとは電解質であると理解しておけば大丈夫でしょう。

電解質と非電解質電解質…水に溶けると電流が流れる物質。
例)塩化ナトリウム(食塩)、水酸化ナトリウム など
非電解質…水に溶けても電流を流さない物質。
例)砂糖、エタノール、デンプン

非電解質は、上の3つを覚えておけば十分です。これ以外は電解質だと割り切って覚えましょう。

電離

電離とは、物質が水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれることです。物質が電離し、水溶液中にイオンが存在すると水溶液に電流が流れます。イオンが電気を運んでくれるのです。電解質は水に溶けると電流を流す物質でした、つまり、電解質は水に溶けると陽イオンと陰イオンが水溶液中に出てくる物質なのです。

電離とは電離…物質が水に溶け、陽イオンと陰イオンに分かれること。
電解質…水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれる物質。

塩化ナトリウムの電離

電離を説明するために、塩化ナトリウム(食塩)NaClを水に溶かす実験を紹介します。

塩化ナトリウムを水に溶かすと、塩化ナトリウムNaClを構成する原子のうち、ナトリウム原子Na電子を1つ失ってナトリウムイオンNa⁺になります。もう一方の塩素原子Clは、電子を1つ受けとって塩化物イオンCl⁻になります。

塩化ナトリウムの電離

塩化水素の電離

塩化水素HClを水に溶かすと、塩化水素HClを構成する原子のうち、水素原子H電子を1つ失って水素イオンH⁺、もう一方の塩素原子Clは、電子を1つ受けとって塩化物イオンCl⁻になります。

塩化水素の電離

塩化銅の電離

塩化銅CuCl₂を水に溶かすと、塩化銅CuCl₂を構成する原子のうち、銅原子Cu電子を2つ失い銅イオンCu²⁺、もう一つの塩素原子Clの2個は、それぞれ電子を1つずつ受けとって塩化物イオンCl⁻が2個生じます。

塩化銅の電離

電離のようすを表す式

電解質が水に溶けて電離するようすを表す式である「電離式」も書けるようになっておきましょう。実際のテストや試験では、「電離のようすを表す式を、化学式とイオン式を使って表しなさい」などといわれます。

電離のようすを表す式❶塩化ナトリウム NaCl→Na⁺+Cl⁻
❷塩化水素 HCl→H⁺+Cl⁻
❸水酸化ナトリウム NaOH→Na⁺+OH⁻
❹塩化銅 CuCl₂→Cu²⁺+2Cl⁻
❺硫酸 H₂SO₄→2H⁺+SO₄²⁻
❻水酸化バリウム Ba(OH)₂→Ba²⁺+2OH⁻

電解質と非電解質の確認問題

  1. 水に溶けると電流を流す物質を何というか。
  2. 水に溶けても電流を流さない物質を何というか。
  3. 次の中から非電解質をすべて選べ。
    ア 砂糖  イ 食塩  ウ 塩化水素  エ エタノール  オ デンプン
  4. 物質が水に溶け、陽イオンと陰イオンに分かれる物質を何というか。
  5. 物質が水に溶け、陽イオンと陰イオンに分かれることを何というか。
  6. 塩化ナトリウムが水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれる様子を、化学式とイオン式で表せ。
  7. 塩化銅が水に溶けて、陽イオンと陰イオンに分かれるようすを、化学式とイオン式で表せ。

解答

  1. 電解質
  2. 非電解質
  3. ア、エ、オ
  4. 電解質
  5. 電離
  6. NaCl→Na⁺+Cl⁻
  7. CuCl₂→Cu²⁺+2Cl⁻

【練習問題❶】原子とイオン

原子のつくり問題右の図は、原子のつくりを表したものである。原子は図のようにいくつかの粒子が集まってできている。これについて、次の各問いに答えなさい。

(1)右の図で、原子核の中にあるアとイの粒子の名称をそれぞれ答えなさい。

(2)右の図で、原子核のまわりを飛んでいる粒子ウは何か。名称を答えなさい。また、ウの粒子について正しく述べているものを次のア~エの中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 同じ原子でも飛んでいる数が異なることがある。
イ 原子をつくっている粒子の中で最も軽い。
ウ 原子から他の原子に移動することはない。
エ マイナスの電気を帯びているが、プラスの電気を帯びることもある。

(3)原子は、全体的に電気を帯びておらず、電気的に中性になっていると表現される。これは、原子の中で、何の粒子と何の粒子の数が等しいからか。粒子の名称を2つ答えよ。

(4)原子がウの粒子を失うと、プラスの電気を帯びた粒子となる。この粒子を何というか。

(5)カルシウムイオンのイオン式はCa2+になる。カルシウム原子の中にあるイの数が20個であるとき、カルシウム原子のウの数と、カルシウムイオンのウの数をそれぞれ答えなさい。

【解答・解説❶】原子とイオン

(1)ア:中性子 イ:陽子

原子は、+の電気を帯びた原子核と、そのまわりをまわる-の電気を帯びた電子からできています。原子核の中には、+の電気を帯びた陽子と、電気を帯びていない中性子があります。

原子の構造原子の構造

(2)名称:電子 記号:

原子核のまわりを飛んでいる粒子は、-の電気を帯びた電子で、原子核の中の陽子や中性子よりも軽い粒子になります。陽子や中性子は、電子の質量の1840倍もあります。

(3)陽子電子

原子では、+の電気を帯びた陽子と、-の電気を帯びた電子の数が等しくなっており、電気的に中性(+も-も電気を帯びていない状態)になっています。原子が電気を帯びると、名称がイオンに変わります。

原子の電気陽子の数と電子の数が等しく、原子全体では電気を帯びていない!

(4)陽イオン

原子が-の電気を帯びた粒子である電子を失うと、原子は全体的に+の電気を帯びます。これが陽イオンです。逆に、電子を受けとると-の電気を帯びます。これを陰イオンといいます。

イオンのでき方イオンのでき方

(5)カルシウム原子:20 カルシウムイオン:18

原子では、電子の数と陽子の数が等しくなっています。したがって、カルシウム原子の電子の数は陽子の数と同じ20になります。カルシウムイオンは、電子を2個失ってできる陽イオンです。したがって電子の数は18個になります。

カルシウム原子Ca カルシウムイオンCa²⁺
陽子の数 20個 20個
電子の数 20個 18個

【練習問題❷】電解質・非電解質

電解質・非電解質問題右の図のように、色々な物質を水に溶かし、電流が流れるか調べる実験を行った。実験に使用した物質は、次のア~カである。以下の各問いに答えなさい。

ア 食塩
イ 砂糖
ウ 塩酸
エ デンプン
オ 水酸化ナトリウム
カ 鉄粉

(1)物質を水に溶かす前に、それぞれの物質に電流が流れるか調べた。このとき、電流が流れた物質はどれか。記号で答えよ。

(2)ア~カの物質を水に溶かし、水溶液に電極を入れ電圧をかけたとき、電流が流れた水溶液はどれか。すべて選び記号で答えなさい。

(3)水に溶かしたときに電流が流れる物質を何というか。また、水に溶かしても電流が流れない物質を、下のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。
ア 塩化銅
イ 硝酸カリウム
ウ 水酸化バリウム
エ エタノール

(4)電極を水溶液に入れ、電流が流れるかどうか調べるとき、次の水溶液に電極を入れる前にしなければならないことは何か。

(5)食塩水と塩酸に電極を入れ電圧をかけたとき、においがする気体が発生した。この気体の名称を答えなさい。

(6)電流が流れた水溶液は、物質が水に溶け構成する粒子がイオンに分かれたからである。このように、イオンに分かれることを何というか。

(7)食塩(塩化ナトリウム)が水に溶けて電離するようすを、化学式とイオン式を使って表しなさい。

【解答・解説❷】電解質・非電解質

(1)

水に溶かす前の物質、つまり固体の状態で電流が流れる物質は、金属と炭素だけです。選択肢の中で金属なのは鉄だけになります。

固体で電流が流れるもの❶金属(鉄・アルミニウム・亜鉛など)
❷炭素

(2)ア、ウ、オ

水に溶かしたときに電流が流れる物質はたくさんあるので、水に溶かしても電流が流れない物質である非電解質を覚えましょう。非電解質はどれも有機物になります。

非電解質は3つ覚える!❶砂糖
❷エタノール
❸デンプン

(3)物質:電解質 記号:

水に溶かすと、陽イオンと陰イオンに分かれ、電流が流れる物質を「電解質」といいます。一方、水に溶けても陽イオンと陰イオンに分かれず、電流が流れない物質を「非電解質」といいます。

(4)電極を精製水で洗う。

水溶液を混ぜるのを防ぐために、精製水(蒸留水)で電極を洗います。

(5)塩素

食塩水(NaCl)や塩酸(HCl)に電流を流すと、電気分解が起こり、陽極から塩素が発生します。塩素は、刺激臭(プールの臭い)がする気体で、水に溶けやすく、水に溶けると酸性を示す気体です。脱色作用があるので、赤インクをしみ込ませたろ紙を近づけると、色が抜けて白くなります。

塩素の性質!❶黄緑色で刺激臭の気体!プールのにおい!
❷水に溶けやすく、水に溶けると酸性を示す!
❸漂白作用「赤インクを染み込ませたろ紙を近づけると色が抜けて白くなる」
❹殺菌作用「プールや水道水の殺菌に使用される」

(6)電離

食塩などの電解質を水に溶かすと、陽イオンと陰イオンに分かれます。これを電離といいます。

(7)NaCl→Na⁺+Cl⁻

ナトリウム原子Naは電子を失って陽イオンのナトリウムイオンNa⁺に、塩素原子Clは電子を受け取って陰イオンの塩化物イオンCl⁻になります。

塩化ナトリウムの電離

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