中学国語の詩の学習です。詩にはさまざまな種類があり、表現技法も多岐にわたります。「定型詩」や、自由な表現が特徴の「自由詩」など、それぞれの特徴を理解することが大切です。また、比喩や擬人法などの技法を学ぶことで、詩の世界をより深く味わうことができます。本記事では、詩の種類や表現技法の要点を整理し、実践的な練習問題にも挑戦できる内容を用意しました。詩の魅力を感じながら、読解力を高めていきましょう!
詩の学習のポイント
まずは、詩の形式と表現技法を覚え、作者の心情の訴え方をとらえます。また、詩で描かれている情景をとらえることでも、作者の心情が浮かび上がってきて主題を読み取ることができます。
詩の種類
詩は、使っている言葉、形式、内容により、次のように分類されます。
使っている言葉で分類
- 口語詩…今の話し言葉で書かれた詩
- 文語詩…昔の文章言葉で書かれた詩
文語詩は、歴史的仮名遣いが登場するので、「言ふ」などを見つけたら文語詩としていいでしょう。
形式で分類
- 自由詩…音数や行数の自由な詩
- 定型詩…各行が一定の音数を持った詩
- 散文詩…普通の文章の形で書かれた詩
口語は自由詩、文語は定型詩であることが多いようです。
内容で分類
- 叙情詩…心情や感動をうたった詩
- 叙景詩…景色や自然をうたった詩
- 叙事詩…事件や伝記を物語った詩
詩の内容については、叙情詩が最も多いです。詩の形式を選ぶ問題では、現代の言葉で、自由に書かれている場合は「口語自由詩」、昔の言葉で一定の音数で書かれている場合は「文語定型詩」などのように答えます。
詩の表現技法
詩の表現技法を学習することで、作者の心情を読み取ることができるようになります。どこに感動の中心があるのか、何に心動かされているのかがわかるようになります。次の表現技法が重要です。
- 比喩法(ひゆほう)
たとえを用いて印象を強める。「~ようだ」を用いて直接たとえる「直喩」と、「~ようだ」を用いずにたとえる「暗喩」があります。 - 擬人法(ぎじんほう)
人でないものを人のようにたとえ、印象を強める。 - 倒置法(とうちほう)
強く印象を残すために、語の順序を変える。 - 体言止め(たいげんどめ)
文末を体言(名詞など)で止め、余韻を残す。 - 反復法(はんぷくほう)
強く印象を残すために、同じ語を繰り返す。 - 対句法(ついくほう)
相対する言葉を並べ、印象を強める。 - 押韻(おういん)
各行の初め(頭韻)や終わり(脚韻)を同音にして、調子を整える。
擬人法も広い意味では比喩法の一種になります。
【練習問題】詩
次の詩を読み、後の問いに答えよ。
雲雀(ひばり)
ひねもす空で鳴りますは
あゝ 電線だ、電線だ
ひねもす空で啼(な)きますは
あゝ 雲の子だ、雲雀奴(ひばりめ)だ
碧(あーを)い 碧(あーを)い空の中
ぐるぐるぐると 潜もぐりこみ
ピーチクチクと啼きますは
あゝ 雲の子だ、雲雀奴だ
歩いてゆくのは菜の花畑
地平の方へ、地平の方へ
歩いてゆくのはあの山この山
あーをい あーをい空の下
眠つてゐるのは、菜の花畑に
菜の花畑に、眠つてゐるのは
菜の花畑で風に吹かれて
眠つてゐるのは赤ン坊だ?
中原中也「在りし日の歌」より
(1)あゝ 雲の子だ、雲雀奴(ひばりめ)だ とあるが、作者はひばりをどのようなものと感じているか。次のア~エの中から選び、記号で答えよ。
ア 寂しいもの。
イ 騒がしいもの。
ウ 親しいもの。
エ 勇ましいもの。
(2)この詩の表現上の特徴を説明しているものとして適切なものを、次のア~エの中から選び、記号で答えなさい。
ア 断定的な表現によって、力強い感じをつくり出している。
イ 繰り返しを用いて、音楽的な快い気分をつくり出している。
ウ 擬人法によって、春の季節の楽しい気分をつくり出している。
エ 呼びかけのことばを用いて、なつかしい感じをつくり出している。
(3)この詩はどのようなことをうたっているか。次のア~エの中から選び、記号で答えよ。
ア ひばりが啼いている様子と、菜の花畑に向かってひたむきに歩く作者の姿をうたっている。
イ ひばりが青空高く飛ぶ様子と、菜の花畑でもの思いに沈んでいる作者の姿をうたっている。
ウ 春の空にひばりが軽やかに舞う様子と、さびしい菜の花畑の夕暮れの風景をうたっている。
エ 春の空にひばりが明るくさえずっている様子と、菜の花畑ののどかな風景をうたっている。
【解答・解説】詩
(1)ウ
「雲雀奴(ひばりめ)」の「奴」は、「ひばりのやつったら」くらいの意味で、決して見下しているものではありません。ひばりに対する親愛の情が見えます。
(2)イ
「電線だ、電線だ」「碧い 碧い」「地平の方へ、地平の方へ」などが、反復(繰り返し)の技法になっています。また、随所に登場する七音五音の繰り返しから音楽的なリズムを作り出しています。
(3)エ
詩の全体ののどかな感じをとらえることができれば、おのずと答えが選べるはずです。
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