中学社会のキリスト教の伝来と大航海時代について学習します。室町時代の後半は、下剋上の風潮が強まり戦国時代に突入します。このころにキリスト教が日本に伝わります。ヨーロッパではこのとき何が起こっていたのか、世界に目を向けてみます。
キリスト教の伝来と大航海時代のポイント
ここは、出来事の順序をおさえることがとても重要です。ルネサンスから日本にキリスト教が伝わるまでのヨーロッパや世界での出来事の順番を覚えましょう。
❷ポルトガル人・スペイン人と南蛮貿易を行う!輸出品・輸入品をおさえる!
❸宗教改革からキリスト教が日本に伝わるまでの歴史の流れ!
❹香辛料などのアジアの物資を直接買い付ける目的で、大航海時代スタート!
❺ルネサンス・大航海時代・宗教改革・キリスト教の伝来までの歴史の順序をおさえる!
鉄砲・キリスト教の伝来
戦国時代の1543年に、ポルトガル人の乗った中国船が難破し、種子島に漂着し、鉄砲が日本に伝わります。日本全国に鉄砲が伝わり、堺などで国内生産されるようになります。
キリスト教は、1549年にイエズス会の宣教師であるフランシスコ=ザビエルによって日本に伝えられます。まず鹿児島に伝えられました。大名の中には、キリスト教を保護し、自らがキリシタン大名になるものも現れます。
❷1549年キリスト教の伝来「以後よく伝わるキリスト教!」
南蛮貿易と輸出・輸入品目
鉄砲の伝来以降、南蛮人と呼ばれるポルトガル人・スペイン人が日本に来航するようになります。この南蛮人と行った貿易が南蛮貿易です。
●南蛮貿易での輸出品目
- 銀
- 刀剣
●南蛮貿易での輸入品目
- 鉄砲
- 火薬
- 絹織物
ルネサンスからキリスト教が日本に伝わるまでの流れ
ルネサンス、宗教改革、大航海時代、キリスト教の日本への伝来は、歴史的事項の順序を問う問題が非常に多いです。まずは、その流れを簡単におさえましょう。
- 14世紀にイタリアでルネサンスが始まる。
- オスマン帝国の重税により香辛料などの値段が高騰。
- 新航路の開拓を目ぜして大航海時代がスタート。
- 宗教改革がドイツで始まりプロテスタントが生まれる。
- カトリックは海外布教につとめ、日本にキリスト教が伝わる。
まずは。ざっくりとこの流れを押さえましょう。
1.ルネサンスがイタリアで始まる
ルネサンスとは、ギリシャやローマの文化を見直し、復興する動きのことです。14世紀ごろからイタリアで始まり、ヨーロッパ各地に広がります。キリスト教中心の考え方をはなれ、自然や人間をありのままに見ようとする人間中心の文化が起こりました。
ルネサンスは14世紀にイタリアで始まりましたが、15世紀に最も盛んになり、16世紀まで続きます。西暦で言うと1300年代から始まり1500年代まで続くことになります。
ルネサンスは、文化・芸術のはたらきですが、のちの宗教改革に大きな影響を与えます。
2.オスマン帝国の重税によりヨーロッパの香辛料が高騰
ヨーロッパでは肉がよく食べられます。この肉を保存するために必要なのが香辛料です。アジアの香辛料は、ヨーロッパ人の生活必需品になっていました。
オスマン帝国が西アジアを支配すると、通行する物資に重税をかけます。この結果、アジアの物資は高騰し、香辛料もダイアモンドにも劣らない価格にまではね上がります。
インドからオスマン帝国、オスマン帝国からヨーロッパまではイスラム商人が物資を運びました。
3.新航路の開拓を目ぜして大航海時代がスタート
香辛料などのアジアの物資を安く手に入れるために、ヨーロッパの国々はオスマン帝国を経由せず、直接アジアに行ける航路を探します。これが大航海時代のスタートになります。
- コロンブス…1492年に西インド諸島(カリブ海の諸島)に到達。アメリカ大陸の発見につながる。
- バスコ=ダ=ガマ…1498年にインド航路開拓。南アフリカの喜望峰(きぼうほう)を中継してインドへ向かう。
- マゼラン…1519年~1522年にかけて、マゼランの艦隊が世界一周に成功。
新航路が次々に発見され、主にスペイン・ポルトガルは海外に植民地をつくり、略奪や搾取の限りを尽くします。
4.宗教改革がドイツで始まりプロテスタントが生まれる
それまで、絶大な権力を持っていたローマ教皇の権威が衰え始めます。財政難のためローマ教皇や教会は、これを買えばそれまでの罪が許され天国に行けると免罪符(めんざいふ)売ります。
16世紀の初め、ドイツでルターが免罪符の販売に抗議して、宗教改革が始まります。キリスト教本来の精神に戻ろうとする運動です。
宗教改革で生まれた新しいキリスト教の教えはプロテスタント(新教)と呼ばれ、旧教であるカトリックと対立します。
5.カトリックは海外布教につとめ日本にキリスト教が伝わる
カトリックは、形式的な信仰を反省して改革を行い、ロヲラやフランシスコ=ザビエルが中心となってイエズス会が設立されます。イエズス会は海外への布教に力を入れ、1549年に鹿児島にフランシスコ=ザビエルによってキリスト教が伝えられるのです。
この流れは非常に大切です。入試でもたびたび登場するのでしっかりと覚えておきましょう。
【対策問題】キリスト教の伝来・大航海時代の問題
【問1】次の問いに答えなさい。
- 1543年に日本に伝わった武器は何か。
- 1を伝えたのはどこの国の人か。
- 1の武器は、最初に日本のどこの島に伝わったか。
- 1549年に日本に伝わった宗教は何か。
- 4を伝えた人物は誰か。
- 5の人物は何という団体の一員であったか。
- 4を保護し、自らが信者となった大名を何というか。
- ポルトガル人やスペイン人と行た貿易を何というか。
- 8の貿易で、日本が輸出した品目を2つ答えよ。
- イタリアで始まり、ヨーロッパ口に広がった、ギリシャ・ローマの文化を見直し、復興する動きを何というか。
- ローマ教皇の権威が衰え、堕落した教会を改革し、キリスト教本来の精神に戻ろうとする改革を何というか。
- 11の中心的存在となったのは誰か。
- それまでの罪が許され天国に行けると説き、ローマ教皇や教会が販売したものは何か。
- 11の結果生まれた、新しいキリスト教の教えを何というか。
- 14に対して、従来のキリスト教の教えを何というか。
- 調味料や肉の保存料として、ヨーロッパに広まったアジアの特産物は何か。
- 1492年、西インド諸島に到達した人物は誰か。
- 1498年、アフリカの喜望峰を中継してインドへ到達した人物は誰か。
- 1522年に世界一周を達成した船隊を率いていた人物はだれか。
【問2】次の各問いに答えよ。
(1)ヨーロッパの国々が、新しい航路の発見に力を入れたのはどういう理由からか。次の語句を使って簡単に説明せよ。〔語句:アジア、イスラム商人〕
(2)次のア~エを年代の古い順位並べ替えよ。
ア ヨーロッパで宗教改革が始まる。
イ ヨーロッパ人がアメリカ大陸を発見する。
ウ 日本にキリスト教が伝わる
エ イタリアでルネサンスが始まる。
【解答】キリスト教の伝来・大航海時代の問題
【問1】
- 鉄砲
- ポルトガル
- 種子島
- キリスト教
- フランシスコ=ザビエル
- イエズス会
- キリシタン大名
- 南蛮貿易
- 銀・刀剣
- ルネサンス
- 宗教改革
- ルター
- 免罪符
- プロテスタント
- カトリック
- 香辛料
- コロンブス
- バスコ=ダ=ガマ
- マゼラン
【問2】
(1)香辛料などのアジアの物資をイスラム商人を通さずに手に入れるため。
(2)エ→イ→ア→ウ
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