中学1年理科。今日は「顕微鏡」について学習していきます。身近な生物を拡大して観察できる顕微鏡の名称や使い方をマスターしましょう。また、生物の観察の仕方やスケッチの仕方などのポイントも確認します。
目次
顕微鏡
顕微鏡は、大きく分けると拡大の能力が大きい普通の顕微鏡と、拡大能力は低いものの、立体的に物体を観察できる双眼実体顕微鏡があります。それぞれの各部の名称もよく聞かれるので、最低限下の図の名称は覚えておきましょう。
顕微鏡の各部の名称
- 接眼レンズ…目に接しているレンズ。短い方が倍率が高い。
- 対物レンズ…観察物に対しているレンズ。長い方が倍率が高い。
- ステージ…プレパラートをのせる台。クリップがついている。
- 反射鏡…光を反射する鏡。平面鏡と凹面鏡がある。
- レボルバー…3つの対物レンズを装着でき、回転させ倍率を変えることができる。
- しぼり…反射鏡からの光の量を調節するダイヤル。絞ると光が少なくなる。
- 調節ねじ…ステージや鏡筒を上下させ、ピントを合わせるはたらきがある。
双眼実体顕微鏡の各部の名称
- 接眼レンズ…目に接しているレンズ。短い方が倍率が高い。
- 対物レンズ…観察物に対しているレンズ。長い方が倍率が高い。
- ステージ板…白と黒があり、ひっくり返すと色を変えることができる。
- 粗動ねじ…顕微鏡上部の固定をはずし、大雑把にピントを合わせる。
- 調節ねじ(微動ねじ)…細かなピント調節に使用する。
- 視度調節リング…さらに細かなピント調節に使用する。
顕微鏡の操作手順
顕微鏡の問題では、顕微鏡で物体を観察するまでの操作手順がよく出題されます。次の手順で操作します。理由まで聞かれるので、記述できるようにしておきましょう。
- 明るく直射日光が当たらない水平な台の上で使用する。
〈理由〉目を痛める恐れがあるから。 - 顕微鏡にレンズを、接眼レンズ→対物レンズの順に取り付ける。
〈理由〉鏡筒内に空気中のほこりが入らないようにするため。 - 反射鏡としぼりを使って明るさを調節する。
- ステージにプレパラートをのせる。
- 横から見ながら、対物レンズとプレパラートを近づける。
- 接眼レンズをのぞき、対物レンズとプレパラートを遠ざけながらピントを合わせる。
〈理由〉対物レンズとプレパラートが接触するのを防ぐため。 - 観察物を視野の中央に動かし、レボルバーを回し高倍率にする。
〈理由〉最初から高倍率にすると、視野が狭く観察物が見つからないから。
特に、3と4の順番を間違える生徒が多いです。ステージに何も乗せていない状態で明るさ調節をし、その後にプレパラートをステージにのせます。
低倍率と高倍率
顕微鏡で物体を観察する場合、まずは低倍率で観察し、観察物を視野の中央にもってきてレボルバーを回し高倍率に変えます。このときの視野の変化がよく聞かれます。
低倍率 | 高倍率 | |
視野の広さ | 広い | せまい |
視野の明るさ | 明るい | 暗い |
対物レンズとプレパラートの距離 | 長い | 短い |
顕微鏡の確認問題
- 顕微鏡は直射日光が当たる場所で使用してはいけない。その理由を答えなさい。
- 顕微鏡に最初にとりつけるレンズは何か。
- 2の理由を答えなさい。
- 対物レンズが取り付けられている回転させ倍率を変える部分を何というか。
- 顕微鏡で観察する場合、最初は低倍率、高倍率のどちらの倍率で観察するか。
- 顕微鏡で高倍率にすると、視野の明るさはどうなるか。
- 立体的に観察物を見ることができる顕微鏡は何か。
解答
- 目を痛める恐れがあるから。
- 接眼レンズ
- 鏡筒内にほこりが入らないようにするため。
- レボルバー
- 低倍率
- 暗くなる
- 双眼実体顕微鏡
身近な生物の観察
身近な生物の観察として、校舎のまわりなどの植物を調べてみましょう。日当たりの良い場所と日当たりが悪い場所にはどのような植物が生えているのでしょうか。
日当たりの良い場所に生える植物
日当たりがよい場所では、植物が成長するための日光が十分に当たるので、さまざまな種類の植物が生えています。人通りの状況で、土の硬さが異なりますので生える植物が分かれます。
人通りが多い場所
人通りが多い場所は、土が踏み固められ硬くなっています。そのような場所には、背が低くて葉が横に広がっていて、根が発達した植物が生えています。次のような植物です。
- タンポポ
- オオバコ
- スズメノカタビラ など
人通りが少ない場所
人通りが少ない場所は、土が踏み固められていないのでやわらかいです。そのような場所には、草丈が高い植物が生えています。次のような植物です。
- ヒメジョオン
- ススキ
- ブタクサ など
日当たりが悪い場所に生える植物
建物の陰などの日当たりが悪い場所は、日当たりがいい場所に比べて土の中の水分が多いです。そのような場所には、日当たりがいい場所では生育できない植物たちが生えています。次のような植物です。
- ドクダミ
- ゼニゴケ
- イヌワラビ など
どのような植物がどんな場所に生えるのか、実際に自分のまわりで調べてみるといいですね。地域によっても生育する植物が異なります。
ルーペでの観察
気になる植物があれば、そのつくりをルーペを使って観察しましょう。ルーペの使い方のポイントは、「ルーペは目に近づけて固定する」です。
観察物が動かせる場合
観察するものが動かせる場合は、ルーペを目に近づけて固定した後、観察物を前後に動かしてピントを合わせます。
観察物が動かせない場合
観察するものが動かせない場合は、ルーペを目に近づけて固定した後、観察物に自分が近づいてピントを合わせます。
スケッチの方法
観察物をスケッチするには、先のとがった鉛筆で、見えるものすべてをスケッチするのではなく、目的とするものだけを描きます。背景に見えるものなどは描かなくていいです。
線を二重にしたり、塗りつぶしたりせず、影をつけずにはっきりとした線でスケッチしてください。
【練習問題❶】顕微鏡
[問題]顕微鏡に関する次の各問いに答えよ。
(1)次の文は、顕微鏡の使い方を説明したものである。( )の中に適当な言葉を入れ、{ }からはそれぞれア、イから正しいものを選び、記号で答えよ。また、文章中の下線部に関して①~③の問いに答えよ。
①顕微鏡にレンズを取り付けるとき、上の文章中の順番でレンズを取り付ける理由を簡潔に答えよ。
②顕微鏡を使う場合、直射日光が当たらない場所で観察する理由を簡潔に答えよ。
③顕微鏡のピントを合わせるとき、プレパラートと対物レンズを下線部のように捜査する理由を簡潔に答えよ。
(2)接眼レンズには5倍と10倍の2種類があり、対物レンズには20倍と40倍の2種類があった場合、この顕微鏡の最高倍率は何倍になるか。また、そのときの接眼レンズと対物レンズの組み合わせを下の図の記号を用いて表せ。
(3)倍率を高くすると、視野の広さと明るさはそれぞれどのようになるか。
(4)下の図は、ある生物を顕微鏡で観察したときの視野のようすである。この生物を視野の中央にもってくるには、プレパラートをア~エのどの向きに動かせばよいか。記号で答えよ。
(5)ルーペの使い方で正しいものを、下の図のア~ウの中から一つ選び、記号で答えよ。
【解答・解説❶】顕微鏡
(1)A:接眼レンズ B:対物レンズ C:反射鏡 D:ア E:イ
①鏡筒内にほこりが入らないようにするため。
②目を痛める恐れがあるから。
③対物レンズとプレパラートが接触するのを防ぐため。
(2)最高倍率:400倍 接眼レンズ:ウ 対物レンズ:イ
顕微鏡の倍率は、接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率で求められる。
したがって、最高倍率は10×40=400となる。
接眼レンズは倍率が高いものほど短く、対物レンズは倍率が高いものほど長くなる。
(3)視野の広さ:狭くなる 視野の明るさ:暗くなる
顕微鏡で観察する場合、まずは低倍率で観察し、観察するものを視野の中央にもってきた高倍率に倍率を上げる。高倍率にした場合、視野の範囲(見える範囲)は狭くなり、光の量が少なくなるので明るさは暗くなる。
(4)ア
顕微鏡は凸レンズを利用したものなので、上下左右が反対に見えている。したがって、図のゾウリムシを視野の中央にもってくるには上下左右逆の左上にプレパラートを動かせばよい。
(5)ア
ルーペのポイントは、目とルーペの間隔を動かさないこと。観察物が動かせる場合は、観察物を前後に動かし、観察物が動かいな場合は、自分が前後して観察を行う。
【練習問題❷】身近な生物の観察
[問題]理科の授業で校舎のまわりの植物を調査した。下の図は、校舎のまわりの観察場所A~Dを表した地図である。これについて、次の各問いに答えよ。
(1)次の①~④に当てはまる場所を、上の地図のA~Dの中から選び、記号で答えなさい。また、それらの場所に生えている植物として正しいものを、後のア~エから選び、記号で答えなさい。
①日当たりが悪く、比較的土は乾燥している。
②日当たりがよく、人に踏まれて土がかたくなっている。
③日当たりが悪く、土が湿っている。
④日当たりがよく、土がやわらかい
ア タンポポ イ ドクダミ ウ ゼニゴケ エ ヒメジョオン
(2)次の文は、ルーペを使って生物を観察する方法をまとめたものである。文中の( )内から適するものを記号で選びなさい。
【解答・解説❷】身近な生物の観察
(1)①C、イ ②A、ア ③D、ウ ④B、エ
Aは校舎の南側に位置し、日光がよくあたる場所で、人通りが多く、土が踏み固められている場所になります。このような場所には、タンポポやオオバコなど、草丈が低く、地中まで根を深く伸ばす植物が多くみられます。Bは日当たりがよく、人通りが少ない場所です。ここには、草丈がある程度高いヒメジョオンやハルジオンなどが多くみられます。Cは日当たりが悪く、ある程度乾燥した場所です。このような場所にはドクダミやイヌワラビなどが生えています。Dは日当たりが悪く、池の近くで、非常に水分が多い場所です。このような場所には、ゼニゴケなどが生えています。
(2)ア、ア、イ
ルーペは目に近づけて固定し、観察するものが動かせる場合は、観察するものを前後に動かしてピントを合わせます。観察するものが動かせない場合は、顔を前後に動かしてピントを合わせます。